特別警報は「レベル5」 でも重要なのは「レベル4」――気象庁有識者会議
気象庁は19日、西日本豪雨を受けて設置した有識者会議「防災気象情報の伝え方に関する検討会」(座長=田中淳・東京大学総合防災情報研究センター長)を開き、広域の大雨に限らず、単一市町村でも大雨特別警報を発表できるようにする基準変更案を示し、委員の了解を得た。今後、地域ごとの基準値を設定するために都道府県などと協議を進め、理解を得られた自治体から順次、導入していく方針だ。 【表】大雨の特別警報 気象庁が基準を大幅見直し 2013年伊豆大島でも発表可能に また、政府の中央防災会議は昨年12月、さまざまな防災情報を住民が切迫度を理解しやすいように5段階の警戒レベルで示すことを決めたが、大雨特別警報は「既に災害が発生している状況であり、命を守るための最善の行動を取る」ことが必要な「レベル5」相当とすることで合意した。その一方で、気象庁がホームページ上で発表している危険度分布で「極めて危険」を意味する「濃い紫」は、当面は「レベル4」として運用することになった。
レベル5か、レベル4か
大雨特別警報をレベル5相当とすることについては、委員から賛否両論が出た。中央防災会議で、レベル5が「既に災害が発生している状況」と位置付けられているためだ。委員の一人は「特別警報は発生情報ではない。レベル5に位置付けるのは違和感がある」などと主張した。 しかし、多くの委員は「特別警報が出た時に高い確率で災害が発生していることなどを踏まえるとレベル5でいいのではないか」「災害発生を全て確認できるわけではない」などと述べ、最終的にはレベル5相当とすることに落ち着いた。 一方、レベル4とされた危険度分布の「濃い紫」については、「レベル5でいいのではないか」との意見が多かった。しかし、気象庁が「現状の基準のままレベル5にすると、大きな被害が発生していないのに(発生している状況を表す)レベル5にしてしまうケースが出る。(そうならないような)技術改善を進めることができた段階で、改めて警戒レベルの位置づけを検討したい」などの考えを示したため、当面はレベル4として運用することとなった。 ただ、委員から気象庁に対して、「濃い紫」をレベル5にする方向で努力するように、との意見も出た。