令和の老後「年金だけでは」…厳しい現実 ローン返済で70代「必死に働かないと」、84歳「5万円で2か月」
■支給日の直前は作り置き…当日は?
支給日直前は、作り置きした食事で乗り切ります。滝沢さんは冷蔵庫の扉を開け、「容器に入ってるの。(冷凍の)野菜スープ」と見せてくれました。 年金が支給された15日、滝沢さんは銀行に向かいました。通帳を手に「これで2か月暮らすんだから」。お金をおろしてスーパーへ行き、割引の総菜など3点を買いました。「513円です。今日の買い物」。貯金も残りわずかなため、支給日でもぜいたくはできません。 それでも、お酒を飲むことがささやかな楽しみだといい、「至福のひととき」と話しました。
■“年金頼み”を想定も「甘かった」
年金生活を少しでも豊かに暮らしたい──。働く高齢者も増えています。 ひと月約4万円の受給者(80)は「少ないですもんね。働かざるを得ない」と笑います。 ひと月約20万円をもらう男性(68)は、妻と子ども 2 人がいるため、年金は生活費で消えてしまうそうです。「通帳見て、ダメだこりゃと思って」。今年1月から、マンションの管理人のアルバイトを開始しました。 この男性は「(収入は)月10万円くらい。年金生活でいいやと思っていたけど…甘かったということですね」と言います。
■再び働き始め…「仕事してるからこそ」
都内に暮らす中村さん(64)を取材しました。3年前に定年退職したといいますが、「やはり働かないとダメなのかなと。年金だけだと、家賃だけでなくなってしまうので」と話します。 年金はひと月に約10万円ですが、家賃が8万5000円です。食費などの生活費も合わせると、毎月赤字になります。そのため一昨年から警備会社の契約社員として、再び働き始めました。 渋谷駅周辺で路上喫煙防止の呼びかけや、たばこの吸い殻拾いをする仕事です。「ここたばこ吸えないので、吸えるところで」と声をかけて歩きます。1日8時間、週5日で月20万円ほどの収入があるといいます。 中村さん 「仕事してるから今の生活がある。年金だけで食べていける人は、どれだけいるんですかね」 年金だけに頼れない現実に直面しつつも、こう語ります。「同僚と話をするっていうのも楽しみの1つですね。仕事してることによって、ある程度規則正しい生活、健康も保てるのかなと」 (4月19日『news every.』より)