「たけしさんに見抜かれていた」THE SECONDファイナリスト・ハンジロウ
◇『ビートたけし杯』で優勝 ――コントを始められたあと『にちようチャップリン』(テレビ東京系列)で「沖縄の英語の授業」がすごくウケていたのが印象に残っています。英語を沖縄の方言で訳すネタです。 たーにー:“こんなにウケるんだ”と思いましたね。僕らにとっての代表作ができたって感じでした。 ――それ以前までのネタとは方向性が違うようにも思いました。 しゅうご:そうなんです。じつは、僕らは沖縄の方言をネタにするのを避けてたところあったんですよ。方言のネタはガレッジセールさんとか、元ホーム・チームの与座さんとか、上の世代の沖縄芸人がやったことで、僕らの世代の沖縄芸人には“アレをやったら負け”っていう価値観があったんですよね。要はトガっていただけなんですけど。 ――方言で笑いをとるのが、安直な感じがしていたと。 しゅうご:でも、30歳を過ぎたくらいから、自分のアイデンティティに抗うのも意味がない気がしてきたんですよね。ちょうど、そのころに『にちようチャップリン』で方言ネタの特集をやるのでどうですか?ってオファーが来て。 じゃあ、やってみようかって、あのネタを作ったらバズって。そこでやっと“方言のネタもやったほうがいいんだな”って。沖縄を受け入れる覚悟ができたんですよね。あんなに“方言のネタはダサい”と言っていたのに。 たーにー:めっちゃ遠回りですよね。 ――でも、そうした変遷を経て、最近では漫才の評価が高まっていますよね。先日は『THE SECOND』のファイナルに進出されました。 しゅうご:世の中よくできてるなって。漫才じゃダメだからコントを始めたら、漫才で評価され始めるっていう。 たーにー:飽き性なんでしょうね。二つのことをやっているほうが、どちらにも良い影響があるタイプなんじゃないですかね。 しゅうご:だから、『THE SECOND』にはすごく感謝してます。『M-1』と違って、作品っぽい漫才じゃなくても評価してくれる空気なので。僕らにも合っている気がします。 ――ということは、来年以降もタイトルを狙っていきたい? しゅうご:もちろん。今のところ、僕らのタイトル歴は『O-1グランプリ』と『ビートたけし杯』の2つなんで。そろそろ3つ目の大きなタイトルがほしいですね。 ――2023年にビートたけしさんが直接審査する『ビートたけし杯』で優勝されていますね。たけしさんから何か声は掛けられましたか? しゅうご:めちゃくちゃネタのアドバイスをもらいました。 たーにー:披露したのは、もともとやっていたネタだったんですが、“ちょっと足りないかな”と思って、急遽前日に足した部分があって、それがうまくハマったんですけど、その部分をすごく褒めてくれて。「あそこがあったからお前らに決めた」と言ってくださったんですよ。やっぱ見抜いてるんだ。すごいなって。 しゅうご:記者向けの写真撮影のときも、ずっと僕らの隣で話しかけてくださったんですよ。カメラマンの人が「こっちに表情をください!」と言ってるのに、たけしさんは一瞬だけ正面向いたあと、すぐ横を向いて僕らに話かけてくださって。 いや、すごくうれしいんですよ。うれしいんですけど、僕らは記者の人にも気を使わないといけないから、カメラマンさんに顔を向けて、たけしさんの目を見て、って大変でした。途中で“もういいや! たけしさんのほうが大事だよ!”って、たけしさんに集中しましたけど。 たーにー:記者の方が「今のテレビについてどう思いますかー?」とか遠巻きに質問してきて、確かに大会と関係ない質問ではあるんですけど、たけしさんが小声で「あいつ、バカじゃねえ? な?」って。“いやいやいや、ちょっと待ってくれって(笑)、俺みたいな小物がそれに頷けないよ!”って。 ――受け止めきれない(笑)。 たーにー:まあとにかく、一挙手一投足、全てがかっこよかったですね。THE・芸人って感じで。カリスマでした。 ――近ごろ、YouTubeチャンネルも開設されて活発に活動されています。今後の展望を教えてください。 しゅうご:これまで出た全国放送の番組のうち、8.5割くらいはネタ番組なんで。ネタ番組以外の仕事をいっぱいやりたいです。トーク番組とか、ロケ番組とか。今は、鶴見のケーブルテレビと沖縄ローカルで番組を持っているんですけど、それを全国放送でやりたいです。 ――現在は、お二人とも、かもめんたる槙尾さんのカレー店『マキオカリー』の店長を務めながらの、二足のわらじの活動です。 しゅうご:早くお笑いだけで食べていきたいとは思っています。特に僕のお店は赤字が続いているので(笑)。ただ、仲間とかお客さんが集まる場にもなっているので、今後はお笑いで収入をちゃんと得つつ、お店を続けるっていうのが目標ですね。 (取材:島袋 龍太 )
NewsCrunch編集部