【高校バスケ】八王子学園八王子が日本航空に逆転勝利し関東大会優勝!エース十返が35得点
激闘を勝ち切った八王子学園八王子が6年ぶりV
「令和6年度第78回関東高等学校男子バスケットボール選手権大会」が、6月1~2日にかけて埼玉県深谷市の深谷ビッグタートルほかで開催され、Aブロックは東京都代表の八王子学園八王子、Bブロックは山梨県代表の自然学園が優勝した。 大会2日目は両ブロックの準決勝と決勝が行われたが、特にAブロック優勝の八王子学園八王子の戦いぶりには目を見張るものがあった。 準決勝で、地元・埼玉県の正智深谷と対戦した八王子は、序盤から自慢の攻撃力を生かして先行していく。しかし、タイムアウトを挟んでディフェンスの強度を取り戻した正智深谷に徐々に流れを奪われ、32-36と逆転されて前半を折り返す。 それでも、後半に入るとランニングリバウンドでセカンドチャンスを多く演出し、攻めてはU18日本代表の #12 十返翔里がドライブやミドルレンジジャンパー、3Pシュートと多彩な得点で引っ張る。ディフェンス面でも運動量豊富な守りで正智深谷のオフェンスをシャットアウトし、3Qは24-15、4Qも16-11とリードし、最終スコア72-62で激戦を制して決勝にコマを進めた。十返が42得点、11リバウンドの大爆発、今年から主力となった #14 堀澤希望がオフェンスリバウンド6本を含む12リバウンド、さらに留学生の #55 ニャン・セハ・セダトが20リバウンドとチーム全体で64リバウンド(OR22本)を記録した。 逆の山からは國學院久我山を116-71で下した前年王者の日本航空が勝ち上がった。 果たして迎えた両者の決勝戦は日本航空が先行する。 #30 大道一歩や #23 オルワペルミ・ジェラマイアら昨年度からの主軸を起点に、4番ポジションでカッティングや合わせ、リバウンドなどのハッスルプレーで奮闘する #99 三村デールアンソニーが順調に得点。八王子は1Qを18-25で終える。2Qもその差がなかなか縮まらずに前半を終えて37-43。 3Qもなかなか差を縮めることができず、同じ6点差のまま4Qを迎えるかと思われた。しかし、そこで勝負強さを発揮したのが十返。残り数秒で放った3Pをブザーと共に決め切り、1ポゼッション差(56-59)で最終クォーターに望みをつなぐと、勢いそのままに4Qでは再びオフェンスリバウンドから多くの得点チャンスを演出。残り5分40秒にはついに逆転。セダトのピックからの十返のプルアップジャンパーに日本航空はなかなか答えを出せず、さらに #7 平原侑真のシュートなどで先行。日本航空も大道やジェラマイア、1年生シューターの #9 井ノ岡源聖の3Pシュートなどで食らいつくが、決定的な場面でのショットセレクションの悪さや決定率の低さに苦しんだ。対する八王子は残り15.1秒、日本航空のディフェンスのミスコミュニケーションを突いて十返からセダトへの合わせで決定的な4点リード。そのまま逃げ切り優勝を飾った。 最終スコア77-71、4Qは21-11と差を付けた。十返がこの試合でも35得点とスコアラーとしての責務を全う、セダトが14得点、平原が12得点と3人が2桁得点を挙げた。また、リバウンドではこの試合でも71-51と圧倒。オフェンスリバウンドは驚異の32本を奪ってみせた。 「うれしいです。うれし過ぎてあんまり言葉が浮かばないです」。十返は激闘をくぐり抜けた末の勝利をこう振り返り、今年度のスタイルにこう自信を見せた。「激しいディフェンスからとにかくファストブレイクを出すことが持ち味です。高校バスケでは福岡第一が一番速いイメージがありますが、今年はそれを八王子のイメージに変えたいです」 準決勝、決勝と特にリバウンドで圧倒したこと、そこからのセカンドチャンスやファストブレイクで加点したことは大きな勝因の一つとなった。就任2年目の伊東純希コーチも「リバウンドについてはまだ取りきれないところもあるのですが、留学生もしっかりと跳んでリバウンドを取ってくれますし、KAZU CUPなどでもそこから一生懸命走ることもできてきました。そこはチームとしての武器になっていますし、トランジションはうちのカラーになりつつあると思います。そのスタイルにフィットしたのが十返であり、平原だったと思います」と手応えを感じている様子。 八王子の優勝は木村圭吾(群馬)らを擁した2018年以来。2021年は準決勝までを実施し、勝ち上がった八王子と前橋育英が同時優勝を飾っているが、決勝まで行った上での単独優勝は実に6年ぶりとなった。 関東地区はこの大会を終え、来週からインターハイ予選に突入。各チームが今大会で得た経験と課題、手応えを持って、8月の福岡インターハイ行きの切符を争うこととなる。
取材・文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)