自治体は生活インフラ守れるか 「公営企業」の会計透明化進む
昨年12月、改正水道法が成立しました。目玉は、「水道施設運営権」を設定することが可能になり、地方自治体が民間企業に水道施設の運営事業を委託できるようになったこと。施設をまるまる民間企業に売却できるわけではありませんが、民間事業者が運営に関与できる部分が大きくなります。これが“水道民営化”などともいわれる所以でもあり、大きな話題を集めたのです。 水道事業のようなインフラは生活に不可欠です。一方で、加速する少子高齢化やインフラ施設の老朽化で長期的には懸念にさらされています。地方自治体による持続的な事業運営のために、透明な会計制度への見直しが進められています。
生活インフラを担う自治体の「公営企業」
上水道のみならず、道路・下水道・電気・病院・バス・地下鉄といった生活インフラは私たちの暮らしに欠かすことはできません。電気・ガス・バス・地下鉄などの一部は、民間企業が経営や運行を担っていることもあります。しかし、民間企業は利益を出さなければならず、儲からない場合は事業を廃止もしくは縮小することがあります。 事業者が生活インフラから手を引けば、住民生活に大きな混乱が生じます。地方自治体は生活インフラを安定的に運営するために、民間企業に委託するのではなく、地方自治体が交通局や水道局、企業局といった社内カンパニーのような形で「公営企業」を組織して生活インフラを維持・運営・管理することも珍しくありません。 公営企業は地方自治体の管理下にあるため、その決算は議会に諮られます。また、公営企業の会計は独立採算制を原則にしています。そのため、収支がマイナスになっても、住民税などによる一般会計からすぐに補填されるわけではありません。 近年、人口減少や少子高齢化が顕著になっている地方では、自治体の料金収入が先細っていくことが確実視されています。それゆえに、地方自治体の公営企業が施設の更新にかかる投資的経費を捻出しにくい状況が生まれています。