記憶に残る波を求めて 五輪初代表の稲葉―サーフィン・パリの灯は近く
初の大舞台で出会う特別な波を、サーフィン男子の稲葉玲王(27)は心待ちにしている。 【写真】ワールドゲームズ、稲葉玲王のライディング 「他の場所にはない波。一生(記憶に)残るような波を見つけて乗りたい」。悔しい経験を乗り越え、一回り大きくなった姿でタヒチの大波に挑む。 2021年東京五輪の会場となった千葉県一宮町出身。プロサーファーの父の影響で競技を始めた。「自然な流れというか、ほぼ無理やり。泳げなかったので、最初は海が怖くて」。それでも、5歳から波に乗る日々が始まった。 13歳で自身もプロサーファーに。着々と力を付けていったが、プロ最高峰大会への昇格を目指して下部ツアーを回り、勢いに乗っていた時期に新型コロナウイルスの流行が直撃した。ツアーは休止。昇格の夢は消え、生まれ育った釣ケ崎海岸で行われる東京五輪にも、惜しくも手が届かなかった。五輪の競技期間中は別の場所でサーフィンをして過ごしたと言い、「もちろん悔しい気持ちもあったが、それより次のことに集中しようと思っていた」と当時を振り返る。 五輪で2度目の実施となるサーフィンは、パリから約1万6000キロ離れた仏領ポリネシアのタヒチ島で行われる。稲葉は昨年出場した世界大会の成績などにより、念願の日本代表に決定。本番を見据えて会場にも練習に向かい、特徴的な「チューブ」とよばれるトンネル状の波の攻略に取り組んできた。「目標は金メダル。気持ちで負けないようにしたい」。世界有数のサーフスポットとして知られる場所で、最高のライディングを見せる。