涙のKO防衛からまた成長した井上拓真 ジャブVSジャブに自信の陣営「負けない」「全て上回る」
井上拓真が練習公開
ボクシングのWBA世界バンタム級王者・井上拓真(大橋)が11日、5月6日に東京Dで行われる同級1位・石田匠(井岡)との2度目の防衛戦に向け、神奈川・横浜市内の所属ジムで練習を公開した。兄の世界スーパーバンタム級4団体統一王者・尚弥と元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)の歴史的一戦の興行に参戦。父・真吾トレーナーと歴代のトップ選手の動画を研究し、二人三脚で臨む。戦績は28歳の拓真が19勝(5KO)1敗、32歳の石田が34勝(17KO)3敗。 【画像】井上拓真KO勝ちの瞬間に撮られた1枚 両手突き上げ歓喜する兄・尚弥を激写 涙のKO防衛から1か月半、拓真はさらに成長した。前戦2月24日の初防衛戦では世界戦初のメインイベントを務め、同級9位ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に9回44秒KO勝ち。わずか2か月強の試合間隔のためここまでスパーリングは30回と少ないが、「目指しているところは全然上。自分をより強くするために修正している」と研鑽に励む。 伸びたのはジャブ。父・真吾トレーナーは証言した。 「石田選手はジャブがいいとみんな思っていると思いますが、拓真も伸びています。刺し合いで負けないと思う。刺し合いで負けなければ、全てかみ合っていきます。今まで相手がバチっと来てから返していたけど、積極的に自分からいける。それなら(ボクシングの)幅もできるし、いろんな面に生きる。相手に合わせるのもいいけど、物足りない部分もあった」 身長163センチの拓真は、自身より10センチ高い石田について「教科書通りの正統派。注意するところはジャブですが、中間距離でもジャブで圧倒したい」と上回る構え。陣営の大橋秀行会長も「石田選手も距離を取る選手だが、拓真も力を発揮できる距離。全てで上回れる。『最後の挑戦』と思ってくるはずなので油断できないけど、拓真が全て上回る。右ストレートもいいけど、拓真のスピードが上回る」と大きな自信を見せた。
親子で映像研究、真吾氏「それを念頭に練習している」
アンカハス戦の1か月半前、真吾トレーナーが拓真を自宅に呼び、数年ぶりにスパーリング映像を一緒に研究した。今回は2人で前戦をチェック。マイク・タイソンが活躍した1990年代頃のトップ選手の映像を見せ、取り入れられる部分を熱弁した。真吾氏は「参考にした選手は内緒です。自分がいいなと思っていたもの。それを念頭に練習している」と明かす。 この日、拓真はシャドー2回、サンドバッグ2回を披露。「ハッ!!」と声を張り上げながら拳を叩きつけ、たっぷりと汗をかいた。父が「やるべきことをやれば(KOに)繋がる。攻撃の引き出しを開ければ、ダメージを与えてチャンスにドーンと出せる」と言えば、拓真も「何もさせずに完封して倒す。プロでやる以上はKOにこだわりたい」と力を込め、こう続けた。 「日本人同士の方が気持ちのぶつかり合いが大きくなるので楽しみです。(前戦で)手応えを得たのはボクシングに対する自信。技術をどう出すか、それが自信になった。期待に負けないくらい良い試合をして必ず勝ちたい」 2017年10月以来2度目の世界挑戦で悲願の王座奪取を狙う石田は、19年春など過去2回大橋ジムへ出稽古。尚弥、松本亮とスパーリングをし、拓真も動きを見ていた。2019年11月以来4年半ぶりの兄弟世界戦となる。 ○…興行はAmazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上兄弟のほか、WBO世界バンタム級5位・武居由樹(大橋)が王者ジェイソン・マロニー(オーストラリア)に世界初挑戦する。WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)は同級3位・桑原拓(大橋)と初防衛戦を予定。同じ興行で世界戦4試合は国内史上最多の規模となる。
THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada