ライドシェア業務委託に反対、安全管理面で懸念-公明政調会長
(ブルームバーグ): 公明党の高木陽介政調会長は、一般の運転手が自家用車で乗客を有償で運ぶ「ライドシェア」で推進派議員や経済界などが求めている業務委託の形態を認めることに否定的な考えを明らかにした。
高木氏は3日のインタビューで、業務委託に「反対する」と明言した。その理由として事業者が雇用契約を結ばないことによる運転手の健康状態の把握など安全な運行管理への懸念を挙げた。最低賃金制度の適用外となることから、報酬が低く抑えられる可能性があるとも指摘した。
日本のライドシェアは、地域・時期・時間帯を特定してタクシー会社が運転手と雇用契約を結んで運行を管理する仕組み。国土交通省は配車アプリのデータなどを基に、東京都の一部など4地域を皮切りに順次、認める方針だ。
業務委託形態の容認は自民党の小泉進次郎元環境相ら超党派の議員グループや経済同友会などが要望している規制緩和策で柱の一つとなっている。公明党は斉藤鉄夫国土交通相の所属政党。政策責任者である高木氏が反対する姿勢を明確にした形で、今後の政府・与党内の調整は難航しそうだ。
同友会は2月に公表した提言で、雇用契約を前提とした場合、副業・兼業を希望する人の参加を妨げる可能性があるとして、運転手確保のため、「業務委託も選択肢に含めることが重要」とその必要性を指摘している。
推進派は年内の法整備を主張
推進派議員や経済界はタクシー会社以外の業者の参入も認めるよう求めているほか、早ければ24年中の法改正もしくは新法の制定を促してきた。政府は法整備について、今年6月に向けて「議論を進めていく」とする方針を示している。
高木氏は党としての具体的な対応は今後議論するとした上で、始まったばかりの「日本版ライドシェア」の検証は1年程度かけて行う必要があると語った。年内の新法制定は時期尚早との見方を示した。
一方、配車アプリ事業者など、既存のタクシー会社以外からの参入については「ドライバーと利用者を結び付けるだけというのはだめだ。タクシーの業務として安全管理をやり、雇用し、ということだったら参入できる」と指摘した。