韓国、シンガポール、台湾、香港は出生率1.0未満!! "絶滅危惧国&地域"で起きていること
■韓国 "非婚宣言"がブームになる国 最後は先進国の中で最も低い出生率として知られる韓国。その数値は0.72(23年)と際立っている。一極集中が進む首都ソウルにいたっては0.55で、同じような状況の東京が1.04(22年)であることを見ても異次元の低さだ。韓国紙東京特派員が言う。 「来年は0.6台に突入するだろうといわれています。昨年の出生数はわずか23万人で、50年後の総人口は現在の5156万人から2500万人前後に半減する見込みです。このままでは将来的に軍隊を維持できなくなるのではないか、ともいわれていて、やがて北朝鮮の〝物量〟が脅威になる日が来るかもしれません」 ちなみに北朝鮮の出生率は1.81(21年、以下同)で総人口は2597万人と韓国の半分ではあるが、その差は少しずつ縮まっている。 韓国はこれまで4次にわたる「低出産高齢社会基本計画」(5年ごとに策定)を打ち出し、月最大300万ウォン(約33万円)、基本給3ヵ月分を100%補填する「パパ育児休業ボーナス制度」、新婚向け住宅整備、子育て世帯への苗木や図書券プレゼントなど、総額31兆円もの予算をつぎ込んで結婚、出産を増やそうと政府が努力してきた。だが、その成果は......(以下略)。 もはや、韓国民もいろいろ諦めているような感じだ。 「昨年話題になったのが、愛犬を乗せて散歩するペットカートの売り上げがベビーカーの売上台数を上回ったというニュース。多くの人が赤ちゃんではなく、ペットを育てているんです」(東京特派員) そんな国でちょっとした流行になっているのが非婚宣言イベントだ。周囲からの結婚圧力から解放されたいという独身者がパーティを開き、そこで非婚宣言をぶち上げるというものだ。東京特派員が続ける。 「深刻な住宅難、就職難、物価高騰で韓国ではとても結婚なんて無理、まして出産なんてと、はなから放棄している。 なのに、周囲からは早く結婚しろと迫られる。だったら、いっそのこと堂々と非婚を宣言して、子なし、夫(妻)なしの独身ライフをエンジョイしようと、非婚宣言イベントがあちこちで開かれているんです」 こうした動きを受け(?)、韓国では少子化対策の大きな転換が叫ばれているという。 「結婚できた人々よりも、むしろ結婚できずにいる非婚組を支援し、そのワークライフバランスを改善して結婚しようと思ってもらうことが、少子化対策として有効と考える人が増えている。 こうした変化を企業も敏感に察知し、目ざとい企業では非婚社員に特別の有給や手当、さらにはペット飼育援助金やルームクリーン費用の全額支給といった福利厚生策を打ち出しています」(東京特派員) 婚姻者をことさら優遇するのではなく、非婚者に無理やり結婚を促すのでもなく、まずは非婚者の生活のクオリティ改善から少子化対策を始める――意外と理にかなった考え方かもしれない。 * * * さて、これらの国・地域と比べれば、出生率1.2台をキープしている日本はまだまだましなように見える。 だが、前出の東京特派員はこう言う。 「韓国は23年の総人口は5156万人で、死亡数は約35万人でした。一方、高齢化が進んでいる日本では昨年に約159万人が死んでいます。韓国は日本ほど高齢化が進んでおらず、総人口の減少スピードは日本のほうが速いんです。このことは覚えておいたほうがいいですよ」 写真提供/河浦美絵子 森 純