岩隈久志が大谷翔平と対戦したらどう攻める? 「3打席トータルで考えるということは絶対にしない」
新天地のドジャースで躍動している大谷翔平。今季は打者に専念しているが、あらゆる部門でリーグトップを争う打撃を披露している。発売中の『週刊ベースボール』では大谷翔平を大特集。あらゆる角度から強打の秘密を分析しているが、ここでは、「岩隈久志が大谷と対戦したらどう攻める?」から一部を抜粋して特別公開する。【週刊ベースボール6月10日号より】 【選手データ】大谷翔平 プロフィール・通算成績・試合速報
「1球目から勝負になる」
私が大谷選手と対戦するとしたら、先発ですので3打席を考えないといけませんが……。彼に見せ球や、3打席トータルで考えるということは絶対にしないですし、それをやったら確実に打たれてしまうでしょう。とにかく、1球目から勝負になります。 第1打席の1球目は、内角高めにカットボール系を投げます。ストライクゾーンからボールになる球です。決して大谷選手が体をのけぞらせるようなボールではなく「打てる」と思わせるボールです。そこでまずファウルを取りたいですね。それができると、2球目以降でもボール球が有効に使えます。多分、多くのチームがそれをまず優先的に考えるのではないかな、と思います。 2球目は、低めのストライクからボールになる落とすボールで空振りを狙う。もしくは、もう一度高めのフォーシームでファウルを取るという配球ですかね。ここで2ストライクが取れたとしたら、3ボール2ストライクまでもつれても構いません。そこから勝負にいってもいいくらいの配球をしていきます。そのため勝負は高低をいかに有効に使うか、内角のボール球をいかに振らせるかにかかっています。 もし、この配球で第1打席を打ち取ることができたら、打たれるまで同じ配球でいくと思います。それが私の大谷攻略法でしょうか。第2打席以降はデータ上、私の投げる確率が極端に少ない球種、例えばタテの緩いカーブなどを1球入れたりしながら、勝負をしていくことと思います。 個人的には甘い球を打たれたら、仕方ないと納得できます。さらに一塁線、三塁線への長打を打たれても「うまく打ったな」と思えますし、そういう打球は気持ちを切り替えやすいです。でも、一番納得いかないのが、詰まらせたのにスタンドまで持っていかれたり、左打者なのに詰まり気味で左中間に本塁打を打たれたりすることです。冗談ですが「バットに何か入れているんじゃないか」と思ってしまいますよね(笑)。つまり、内容では勝っているのに、それをホームランにされる。納得したくても、納得できない。だからこそ、メジャーの中でも特筆した存在なのだと思いますね。 私が現役時代に対戦したかったかですか? めちゃくちゃ対戦したいですね。何せ世界一の打者ですから。もちろん、抑えにいきますけどね(笑)。 いわくま・ひさし●1981年4月12日生まれ。右投右打。堀越高-近鉄00-楽天-マリナーズ-巨人20引。2004年に最多勝、08年には21勝4敗で投手3冠を獲得して沢村賞&パ・リーグMVPに。09年WBC優勝に貢献。12年にマリナーズ移籍。6年間で3度の2ケタ勝利を挙げ、15年にはノーヒットノーランも達成した。日米通算170勝をマーク 写真=Getty Images
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