JEITA新会長が説く「日本企業がAIを活用する際の留意点」とは
「生成AIが自分専用のエージェントになっていく」(アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェント ソフトウェアエンジニアリングサービスグループ共同日本統括 兼 クラウドインフラストラクチャーエンジニアリング日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏) アクセンチュアは先頃、テクノロジートレンドの年次調査レポート「Technology Vision 2024」について記者説明会を開いた。山根氏の冒頭の発言はその会見で、生成AIに関するトレンドとして述べたものである。 会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは山根氏の冒頭の発言に注目したい。 「生成AIがブレイクスルーになって、AIが人間の能力を拡張するだけでなく、AIエージェントが人間性を備えたバディーになっていく」 バディーにはいろいろな意味があるが、生成AIは「相棒」がふさわしいだろう。上記のように話した山根氏は、そのトレンドの1つとして「生成AIが自分専用のエージェントになっていく」ことを挙げた。相棒が「代理人」の役目も担ってくれるわけだ。筆者はこの話が興味深かったので、以下に図を3つ示しながら、同氏の発言のポイントを紹介する。 図1は、生成AIと人間の関係を示したものだ。「生成AIは単に作業を効率化する存在ではなく、人間の可能性を広げ、人間に寄り添うパートナーになり得る」として、これまではAIが人間の仕事を代行してきたが、これからは人間の能力の強化・拡張、さらには相互学習していく形になると説いた。 図2は、日米での生成AIの用途の違いを示したものだ。左のグラフの日本人はトップ3が全て業務効率化を目的としているが、右のグラフの米国人はトップがダントツで創造性の拡張を目的としている。 図3は、生成AIのポテンシャルを示したものだ。「AIを作業効率向上策に使うのでは、AI本来の強みを享受できない」として、「実際、生成AIは人間ができる仕事の幅より、もっと広い範囲をカバーできる。それをどう有効活用していけるかが、これからの生成AI活用の大きなポイントになる」との見方を示した。これは課題であると同時に生成AIのポテンシャルを示したものと言える。 ただ、生成AIにはさまざまなリスクがある中で、筆者が懸念する最大のリスクは「人間が生成AIに意思決定を委ねてしまうこと」だ。この点については、本サイトでの筆者のもう1つの連載「一言もの申す」の2023年6月22日掲載記事「生成AIの最大のリスクは『意思決定を委ねてしまうこと』ではないか」をご覧いただきたい。この懸念は記事を書いた1年前より、さらに大きく膨らんでいる。それを乗り越えて、生成AIが人間にとって本当にバディーとなりエージェント役も担ってくれる存在になり得るか。注視していきたい。