外国勢力?いたずら?米東部で相次ぐ不審なドローン目撃情報の正体は 「多くは安保上のリスクなし」と当局
米東部ニュージャージー州や周辺地域で11月以降、不審な無人機(ドローン)の目撃情報が数千件、相次いで報告されている。ソーシャルメディア上には陰謀論も投稿されるなど、住民の間で大きな騒ぎとなっている。これまでに寄せられた証言や政府の対応、専門家らの見方をまとめた。 「ここに2つも」 米ニュージャージー州の夜空に点滅しながら浮かぶ、小さな光─。こうした不審な飛行物体の目撃情報は、住民らの間で大きな騒ぎとなっている。 ニュージャージー州在住 エヴァン・カトラーさん 「見たことがない。肥大化したドローンのようだった」 この現象を巡ってはさまざまな陰謀論も飛び出し、一部の州当局者や議員から調査を求める声が上がった。 ◎人々はどこで、何を見ているのか 11月以降、数百人がこのような写真や動画をネット上に投稿している。ほとんどの目撃情報はニュージャージー州で報告されており、メリーランド、バージニア、マサチューセッツ、ニューヨークの各州でも目撃されている。 「『視差効果』というものがある」 国際無人輸送システム協会(AUVSI)のスコット・シュトフマン氏は、人の目が、夜間に錯覚を起こす可能性があると指摘する。 「目撃証言の多くは、航空機やヘリなど通常の有人機や、衛星、星だと思う。夜間にドローンを操縦したことがあれば、錯覚を起こす可能性も理解できる。何かがゆっくり動いているように見えたり、空中で停止しているように見えるなら、その物体が実際はもっと遠くにあるか、そう見える角度にあるからだ」 ◎これまでの政府の発言は ホワイトハウスとFBIは、これらの物体は脅威ではないとの見方を示している。マヨルカス国土安全保障長官は最近のインタビューで、ニュージャージー州の住民による目撃情報は「疑いようがない」としつつ、こうした証言の少なくとも一部は有人機だったと述べた。規則変更を受け、ドローンの夜間飛行が可能になった点も指摘した。 ニューヨーク州のホークル知事は、ドローン規則の厳格化を議会に訴えた。ニュージャージー州のマーフィー知事は、バイデン大統領に情報提供を求めた。 トランプ次期米大統領は16日、米軍が国民に向けて説明すべきだと述べた。 「我が国の軍も大統領も把握している。何らかの理由で国民を不安に陥れている」 ◎責任の所在は 一部議員からは、ドローンが外国から派遣されているのではないかとの声も。 共和党のクリス・スミス議員はFOXニュースに対して、ニュージャージー沖にいた沿岸警備船が十数台のドローンに追跡されていたと語り、背後に外国勢力がいる可能性もあると推測した。 「海岸付近で多く目撃されていることから、船舶搭載型ドローンの可能性もある」 ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン研究員は、さらなる調査が必要としつつ、多くはいたずらの可能性もあると指摘した。 「何が起きているのか、よくわからない。米国内にいる、いたずら好きの人や個人操縦士が、量販店で買ったドローンを試しているだけかもしれない。だが、外国による憂慮すべき行動の可能性も否定できない。詳しく調査する必要がある。何が起きているのか理解する準備もできていないと思う」