沖縄環太平洋国際映画祭のビジュアル解禁、OP作品は牡丹社事件が題材のドキュメンタリー
第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭のメインビジュアルが解禁。あわせて、オープニング作品が「青海原の先ー牡丹と琉球の悲歌」と発表された。 【画像】「青海原の先ー牡丹と琉球の悲歌」場面写真 “Cinema at Sea”とコンセプトを掲げる本映画祭は、映画の発掘と発信を通じて各国の文化や民族、個々人の相互理解を深め、将来的に沖縄が環太平洋地域において新たな国際文化交流の場となることを目指す目的で開催される。 画家の山田祐基が制作したメインビジュアルは、今回の映画祭テーマである「Boarder/less」をモチーフに作られており、作品名は「あわい/あはひ【間】」。山田は「向かい合うもののあいだ、また、二つのものの関係を白黒させすぎず、その混じり合った状態を楽しむ様子を表現しました」とコメントした。 「青海原の先ー牡丹と琉球の悲歌」は、1871年に発生した牡丹社事件を題材とするドキュメンタリーだ。牡丹社事件とは、宮古島から年貢を納めるために首里へ向かっていた琉球人69名が暴風雨に遭遇し、南台湾のパイワン族が住む地域にたどり着いたが、パイワン族の一部によって殺害されたというもの。同事件は地域的な紛争に留まらず、日本の台湾侵攻や琉球を併合する歴史につながるなど、東アジアの地政学に大きな影響を与えた。本作ではたった1つの遭難船事故がどのように東アジア地域の政治地図を再形成したのか、アーカイブ資料や専門家と遺族によるインタビュー、再現ドラマ映像を用いて映し出していく。 監督を務めたのは台湾出身のション・フー(胡皓翔)。彼は「この歴史は、過去100年近くにわたる琉球と台湾の運命に深い影響を与えましたが、政権の変遷によって歴史教科書には十分に記録されることがありませんでした。そのため、多くの人々がこの土地の物語を断片的にしか知らないのが現状です」と言及し、「もしご自身の過去に興味をお持ちであれば、ぜひこのドキュメンタリーをご覧ください」とつづった。 第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭は、2月22日から3月2日まで沖縄・那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール、桜坂劇場、沖縄県立博物館・美術館などで開催される。なお新たな部門を新設することも発表されており、1つの太平洋諸島地域に焦点を当てる「Islands in Focus」や、沖縄に関連するクラシック作品の修復版などを集めた「オキナワパノラマ」も実施される。また公式アンバサダーを務める那覇市出身の俳優・尚玄からはコメントが到着した。 ■ 第二回Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭 2025年2月22日(土)~3月2日(日)沖縄県 那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール、桜坂劇場、沖縄県立博物館・美術館ほか 実施内容:コンペティション作品上映、特集上映、トークイベントなど ■ Cinema at Sea - 巡回映画祭 in 沖縄・八重山 2024年12月13日(金)沖縄県 西表島 竹富町離島振興総合センター 2024年12月14日(土)・15日(日)沖縄県 石垣島 石垣市民会館小ホール □ 上映作品 ・オキナワより愛を込めて ・緑の模倣者 ・大海原のソングライン ■ Cinema at Sea - 巡回映画祭 in 大阪 2024年12月28日(土)~30日(月)大阪府 第七藝術劇場 □ 上映作品 ・緑の模倣者 ・ゴッド・イズ・ア・ウーマン ・アキコと過ごした八月 ・シンプル・マン ■ Cinema at Sea - 巡回映画祭 in 台湾・東海岸 2025年1月3日(金)~5日(日)花蓮 Hualien Railway Cinema 2025年1月11日(土)~12日(日)台東 Just Arts-Taitung Performing Arts House 2025年1月25日(土)・26日(日)宜蘭 Media Center 57 □ 上映作品 ・大海原のソングライン ・シンプル・マン ・緑の模倣者 ・ばちらぬん ・サバイバル ・オキナワより愛を込めて ・あなたの微笑み ・オキナワ・フィラデルフィア ■ 山田祐基 コメント 海をつなぐ潮の道を通して、ものや思い、血の交歓を得たのも人間であり、そこに国境や海域といったBorderを作ったのもまた人間です。 そのBorderを溶かすこと(Borderless)ができるのも人間だと信じたい。 自身の立ち位置でもあり、制作の軸でもある「あわい/あはひ【間】」をテーマに、向かい合うもののあいだ、また、二つのものの関係を白黒させすぎず、その混じり合った状態を楽しむ様子を表現しました。 「分ける」ために必要だったBorderを「あわい」に進化させていく時代。 Borderなど初めからなかったかのように自由に行き来する動植物たち、子供たちに学ぶことがたくさんあると日々感じます。 ■ ション・フー(胡皓翔)コメント 2018年から始まった創作の旅の中で、私は何度も漢民族、先住民、そして琉球の友人たちと向き合いました。彼らの眼差しには真摯な思いが宿っており、繰り返しこう念を押されました。「監督、どうかこの歴史を多くの人に伝えてください!」そのため、このドキュメンタリーがCinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭のオープニング作品として上映されると聞いたとき、心の底から感動しました。この映画祭こそ、この歴史を世界に伝えるのに最もふさわしい舞台だと感じています。 この歴史は、過去100年近くにわたる琉球と台湾の運命に深い影響を与えましたが、政権の変遷によって歴史教科書には十分に記録されることがありませんでした。そのため、多くの人々がこの土地の物語を断片的にしか知らないのが現状です。もしご自身の過去に興味をお持ちであれば、ぜひこのドキュメンタリーをご覧ください。時間に埋もれた足跡をともに探る旅へとご案内します。 ■ 尚玄(「Cinema at Sea」公式アンバサダー)コメント このたび「第二回 Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭」を開催できることを大変嬉しく思います。昨年11月に開催された第一回目は予想以上の反響をいただき、まだまだ改善すべき点が多々あるとはいえ、やはり沖縄は国際交流の場に相応しい場所であると再確認しました。 私たちの目指すところはこの映画祭を継続し、地域に根付かせていくことです。県内外だけでなく、海外の映画を愛する方々も足を運びたくなるような魅力的な映画祭にしていけるよう、これからも尽力して参ります。ぜひみなさん気軽に遊びに来てください!