知られざる日本の「防衛装備・技術協力」とは?
多様化する日本の装備協力
特に2013年以降広まりつつある諸外国との装備協力ですが、その形態はますます幅の広がりを見せています。日本の装備協力としては、現状、主に5つの形態が考えられます。「国際共同開発・生産」、「部品等の輸出」、「中古装備品の提供」、「国産装備品の輸出」、「後方支援」です。これらの中でも、最近、新たに始まったのが「後方支援」、具体的にはメンテナンスに関する装備協力です。例えば、千葉県にある陸上自衛隊の駐屯地には、V-22オスプレイを整備する拠点が整備され、2017年2月から米軍の機体の整備が始まりました(図3参照)。既に米軍が使用しているオスプレイは、今後、陸上自衛隊も導入する予定です。日米は基本的に同じ機体を使うわけですから、日米双方が日本国内で機体をメンテナンスできれば、予算面でも運用面でも効率的です。また、メンテナンスの一部は日本の企業が担うことになるため、日本の産業基盤にも寄与します。このように、従来、研究や開発を中心に展開されてきた装備協力は、他国の軍隊や自衛隊の活動に直結する、より実際的な協力へと発展しつつあるのです。
残る法的制約
日本の防衛装備・技術協力は、長年にわたる日米協力を基礎として、政府の政策的転換を受けて世界の国々との国際協力へと発展し、その形態も多様化しています。ただし、国際協力の一形態である装備協力であっても、国内法上の限界もあります。その一つが、財政法です。例えば、現行の財政法第9条によれば、事実上、自衛隊の装備などを他国に無償で譲渡することはできません。しかし、この法律ができたのは、終戦直後の1947年。そろそろ、海の向こうで今この瞬間も起きている現実と向き合い、時代と情勢の変化を踏まえて、然るべき法律や制度を整える必要があるのではないでしょうか。
廣瀬泰輔 ---------- 廣瀬泰輔(ひろせ・たいすけ)。元米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員。元日本国際問題研究所・若手客員研究員。日本財団国際フェローシップ(2期)。防衛大学校卒。松下政経塾卒。