引退した大阪桐蔭左腕エース、静岡強力打線のスラッガー…2人が語った努力の足跡【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.50』】
皆さん、こんにちは!! 『高校野球ドットコム』の河嶋です! 12月に入り、社会人野球部の退部者、引退選手の情報が明らかになってきました。今年引退した選手の中には、取材した選手が多く、思い入れがあります。そんな選手を振り返っていければと思います。 【動画】田中誠也が変化球の握りをたっぷり語る!
球速が遅くても…大阪桐蔭、立教大、大阪ガスの主力左腕として活躍した田中誠也
まず1人目は大阪桐蔭出身の田中誠也投手です。 大阪桐蔭時代は2年生時(2014年)から活躍し、夏の甲子園では完投勝利も経験。優勝にも貢献しました。3年(2015年)の選抜ではベスト4に導き、進学した立教大では17年春(2017年)に優勝、通算17勝、250奪三振。大阪ガスでも5年間、プレーしてきました。 田中投手の投球スタイルは技巧派の投球で、ストレートは常時130キロ後半ですが、絶妙に落ちるチェンジアップとのコンビネーションで多くの打者から三振を奪ってきました。大阪桐蔭は右、左問わず、速球投手が多い印象ですが、ピッチングと駆け引きの上手さで社会人まで活躍しました。 立教大時代ではストレートを投げるコツ、変化球の握りも明かしてくれました。決め球のチェンジアップの投げ方についてこう語ります。 「フォークを投げたい気持ちはあったのですが、指が短いので落とせなかったです。薬指を 添えてみたら、投げられるようになりました。よく、教えてくれといわれるのですが、握り が独特なので、教えるのが難しいですね。やっぱりチェンジアップは抜き方を自分の感覚で 見つけていかないと投げられないので、独自の握りになると思います」 田中投手はチェンジアップについての話題になると饒舌に語り出してくれました。握りのポイントをさらに語ってくれました。 「自分は浅く挟んだ握りと、深く挟んだ握りの2種類で投げ分けています。鷲掴みをして、 ストレートを減速させたチェンジアップを投げる投手もいますが、自分の場合は挟んで球速 を落として空振りを奪ったり、打たせて取る事を考えています」 130キロ後半でも空振りが奪えるストレートを投げるために投げ方を工夫しました。 「僕は『ボールをなめる感覚』で投げています。僕は指先にマメはできず、親指部分にマメ ができるんです。ゆっくりキャッチボールしてみたら、親指に強くかけて、最後は中指と人 差し指のリリースで外す感覚で投げているのに気づいたんです」 ボールの回転数は2300。登板前には映像をしっかりと見て、どういう攻めをするのか、しっかりとプランを立てて臨んでいたことも明かしました。取材中はとても気さくで、愛想も良いのが印象的でした。ここまで考えて活躍してきた投手で、高校時代の恩師・西谷浩一監督によると、「いつも投手コーチの石田コーチと相談しながら練習する姿が見えました」と認めるほどうまくなるためにどん欲な選手と語っていました。 かなり考えながら取り組んできた野球人生だったと思いますし、いつか指導者をやってほしい投手だと思います。