アクションカメラ王者のGoProが赤字転落のわけ、9月に3万円台の最安モデル発表、台頭する中国メーカー
GoProの販売台数の推移をみると、2015年に約660万台を出荷しピークに達した後は徐々に減少、2023年は約300万台と前年から下げ止まったものの、ピーク時の半分以下にとどまっている。 ビックカメラ有楽町店で、カメラ販売を担当する乙川和矢氏は「かつてはGoProを指名買いする顧客が多かった。だが、今では中国メーカーの製品も性能がよくなり、用途に応じて多様な提案をしている」と語る。 ■日常使いで中国系メーカーが台頭
DJIの「Osmo Pocket」シリーズの特徴は、同社のドローン技術を応用した「ジンバル」がカメラを支える構造にある。ジンバルは一般的な電子式の手ブレ補正と異なり、物理的にカメラを動かす仕組みで、より精密に手ブレを防ぐことができる。手に持っていても安定感のある撮影ができる点が高く評価されている。 さらに、アクションカメラの中では最大級の1インチのセンサーも搭載しており、暗い場所でも高品質な撮影が可能だ。「高い防水や防塵性能を備えるものではないが、街での撮影に適している。撮影が苦手な方にもおすすめできるモデル」(前出の乙川氏)。
また、DJIは販売店と密な連携を図るメーカーとして知られる。ビックカメラ有楽町店では今年、カメラフロアを刷新すると同時にDJIブースを新設。ドローンとアクションカメラの展示に加え、メーカー専門の販売員を配置した。取材時にも通路を行き交う多くの老若男女が立ち止まり、商品を手に取る姿が目立っていた。 近年、SNS上の動画投稿が盛んになるにつれ、アクションカメラの使用シーンは拡大している。従来はGoProが得意とするスポーツやアウトドアでの撮影が主流だった。コロナ禍を経て行動制限がなくなった今は、日常の風景や旅先での思い出を記録する「Vlog(ビデオログ)」向け需要が若者中心に高まっている。
ある調査によれば、日本を含むアジア圏は他の地域と比較して、若い女性などが自撮りカメラとしてアクションカメラを購入する傾向が高いという。中国メーカー各社はこうした新たな需要を捉え、GoProの機能を後追いするだけではなく、独自性のある商品も次々に投入することで持続的な成長を遂げている。 実際、アクションカメラ市場の製品更新のサイクルは約1年で、通常のビデオカメラより短い。ゴープロが市場を作って20年以上経つ中で、コモディティ化も進んでおり、新製品が出るたびに旧製品の値下げもあり、価格競争が激しくなっている構図だ。