浜岡原発の防潮堤 28メートルにかさ上げへ 「基準津波」25・2メートルに対応 中部電力、13日に表明予定
中部電力は浜岡原発(御前崎市佐倉)の敷地前面に設置している防潮堤を、現在の海抜22メートルから28メートルにかさ上げする方針を固めた。11日までの関係者への取材で分かった。原子力規制委員会の再稼働に必要な審査で決定した耐津波設計の目安となる25・2メートルの「基準津波」を上回る高さにして、新規制基準に適合させる。林欣吾社長が13日に開かれる規制委との意見交換の場で説明する予定。 浜岡原発の防潮堤は2012年に18メートルの高さで完成した。その後、国の南海トラフ地震の津波想定に基づき、22メートルまでかさ上げされた。関係者によると、中電は前回のかさ上げの際に取り付けた鋼鉄製の板など上部の4メートル部分をいったん撤去し、新たに10メートル分を上乗せする考えという。壁下部の補強もするとみられる。 東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえて定められた新規制基準は、原発の敷地内が津波で浸水しない「ドライサイト」を原則的に要求している。林社長はこれまでの取材や記者会見で、ドライサイトを確保するためにかさ上げを含む防潮堤の追加対策を検討していると明らかにしていた。 3、4号機の再稼働を目指して受けている規制委の審査では、基準津波のほかに耐震設計の目安となる最大の揺れの想定「基準地震動」が決まっている。中電は13日の意見交換で建屋や設備、機器といったプラント審査の再開も要望する見通しで、かさ上げの設計の妥当性などもこの中で議論されることになる。 中電の広報担当者はかさ上げについて「意見交換会の準備を進めていて、回答は差し控える」としている。
静岡新聞社