美容室経営の実態 技術があっても集客につながらない理由、プロはチャンスをモノにする 技術以外の要素が重要
【マネー秘宝館】 都内の繁華街でも、郊外の駅周りでも、「増えたなあ」と感じるのが美容室です。改めて意識してみると、本当に増えました。多いだけではありません。いくつもの新しい美容室が登場し、そしていくつもの店が廃業しています。 比較的開業しやすいが、長く商売を続けるのは難しい――これが美容室経営の実態です。 では、「長く商売を続けられる」秘訣は何なのか? 今回はそれについて考えてみましょう。 美容室を開業するオーナーは、独立開業までの数年間、どこかのお店で修業しています。まずは勤務して腕を磨き、ある程度たったら自分の店をもって一国一城の主となる。これは美容室だけでなく、レストランや会計・法律事務所でもみられる「キャリアプラン」です。 独立開業の際は地方公共団体などから各種の補助金支援や銀行からの融資も受けられます。それゆえ比較的簡単にお店を開くことはできるのです。ただし、お店を3年、5年と続けるのはとても難しい。その理由は明らかで「集客」にあります。 実のところ、集客の差がどこでつくかといえば、それは決して「技術」だけではありません。美容室で言えば、カットの技術、レストランで言えば、料理を作る技術、会計事務所で言えば、会計業務の処理技術。それらは「基礎」ではあるものの、それだけでお客さんはきてくれません。接客の感じのよさ、立地のよさや内装の清潔感、価格や予約のしやすさなどなど「それ以外」の要素が重要です。最近のデータによれば、男性客の場合「滞在時間」が重要だそうです。仕事が忙しい男性は「短い時間」で切ってくれる店を選ぶわけですね。 テレビで開業美容師さんが「自分より腕の落ちるあの店がなぜはやっているんだ」と愚痴っているのを見ました。その方は「美容師としての腕=技術」で商売の結果が決まると思われているのでしょう。その気持ちはよくわかる。 ただ、ある程度まで技術を磨いた者同士の場合、商売の結果を決めるものは「それ以外」の要素です。でも「それ以外」が何なのかは誰も教えてくれない。それを自分で見つけられるかどうかが商売のセンスなのでしょう。 いきなり話は変わりまして、MLBのワールドシリーズ。チャンスで出番が回ってきた選手は「いいところで俺に回ってきた」という顔をしています。チャンスで打席に立てることを「おいしい」と感じているのがよくわかる。このポジティブな心持ちが、持てる技術を発揮する上で大切なんでしょうね。ワールドシリーズともなれば技術が超一流なのは当然、問題はここ一番でそれを発揮できるか否か。このポジティブさをわがドラゴンズ(中日)の選手にもわけてあげたいですなあ。