年収の壁123万円に引き上げ 減税効果は「1万円」の試算 与党税制改正大綱決定
自民・公明両党は20日、令和7年度与党税制改正大綱を決定した。年収103万円超で所得税が生じる「103万円の壁」について、基礎控除と給与所得控除を10万円ずつ拡大し、7年から非課税枠を123万円に引き上げる。「手取り増」を目指し178万円への引き上げを求める国民民主党と協議を重ねたが、大和総研の試算では年収500万円の場合、減税効果は1万円となる。 【写真】〝華麗なる宮沢一族〟。伯父は宮沢喜一元首相 自民の宮沢洋一税調会長は20日の記者会見で、「それなりの成果を得た税制改正だった」と総括した。ただ、103万円の壁を巡り、自公は国民民主と6度協議したがまとまらず、大綱には自公案の123万円を書き込んだ。 一方、大綱には3党幹事長による「178万円を目指す」との合意内容も記載。3党幹事長は20日の会談で協議継続を確認し、24日にも協議を再開する方向だ。議論次第では早々に軌道修正を迫られる可能性もある。 123万円への引き上げでは基礎控除を48万円から58万円、給与所得控除を55万円から65万円に増やす。基礎控除は高所得者の非課税枠が縮小し始める所得の基準を2400万円から2350万円に下げる。住民税の基礎控除は地方税収減への懸念に配慮し維持した。 このほか大学生年代(19~22歳)の子を扶養する親の税負担を軽減する特定扶養控除は、子の年収制限を7年から現行の103万円から150万円へ引き上げる。学生アルバイトの働き控え解消を図る。 高校生年代(16~18歳)の子を持つ親世帯の扶養控除の縮小は7年度改正でも見送った。6年10月からの児童手当拡充に伴い、縮小する方針だった。防衛力強化に伴う増税は、対象となる3税のうち法人・たばこ税を8年4月から先行増税する。所得税の増税時期は結論を出せなかった。 与党大綱を踏まえ、政府は27日にも税制改正案を閣議決定する。関連法案を年明けの通常国会に提出し、7年3月末までの成立を目指す。