ヤクルトD2位指名、モイセエフ・ニキータにかかる期待 高く評価された主砲になれる潜在能力
【球界ここだけの話】運命のドラフト会議が10月24日に行われた。2年連続リーグ5位に終わったヤクルトは、ドラフト1位で最速160キロ右腕の愛知工大・中村優斗投手(21)を単独指名。投手陣の立て直しが3年ぶりのV奪回の鍵となるだけに、即戦力投手の交渉権獲得は大きかった。 【写真】ヤクルトから2位指名を受け、家族5人とポーズをとる豊川高のモイセエフ・ニキータ外野手 そして、少し驚いたのが、2位指名だった。2位以下の指名はウエーバー方式が取り入れられ、今季成績で下位球団からの指名となり、今年の優先権を持つパ・リーグの6位・西武からだった。ヤクルトはセ・リーグ5位のため、2位指名は4番目。投手力が課題なだけに、2位指名も、まだ他球団に指名されていない即戦力投手かと思っていたが、違った。 指名したのは、愛知・豊川高のモイセエフ・ニキータ外野手(17)。両親がロシア人で、身長182センチ、体重87キロと堂々たる体格を持つ。今春の選抜甲子園では、新基準のバットで大会1号を放つなど非凡な才能を発揮していた。 指名理由はもちろん、2025年シーズンのオフにもポスティングシステム(入札制度)を利用して米大リーグに挑戦する可能性がある主砲・村上宗隆内野手(24)の後継者になってほしいから。高津臣吾監督(55)は「やっぱり大きいのを打てる数少ない選手の一人だと思うので、そこはしっかり伸ばしていってあげたい。サトテル(阪神・佐藤輝明)に似ていた。スケールの大きさというか、当たったときの打球の速さもすごく似ているなと思って。構えているときもね」と評価。一方で「非常にスカウトの評価が高くて」とも明かしていた。 橿渕聡スカウトグループデスクは「今年の野手の中では、アマチュア市場では一番主軸を打てる選手だと思って、指名させてもらった。(青学大)西川選手より、(大商大)渡部選手よりもと思った。打線の軸として育てたい。ポジション関係なく」と相当に高い評価だったことを明かした。 ポジションは内野手ではなく外野手。左投げ左打ちのため、守っても一塁手ということになる。外野は来季から新たに3年契約を結んだサンタナを始め、西川、大けがからの復活を目指す塩見、岩田、丸山和、沢井らそれぞれ異なった魅力を持つ選手がレギュラーを争う激戦区だが、そこを度外視してでも、他の大卒、社会人の投手よりも獲得したかった選手だったのだ。 ドラフト会議後、モイセエフの動画を見たという山田は「いい打ち方をしているなと思った」と明かしていた。3度のトリプルスリー(同一シーズン打率3割以上、30本塁打、30盗塁)を達成した選手でも、その潜在能力の高さを認めている。
高卒選手はプランを立てながら、しっかりと育成していくのがヤクルトの方針。将来、主砲として神宮球場を沸かす日を多くの人が楽しみにしている。(赤尾裕希)