第91回センバツ注目校/3 桐蔭学園(神奈川) 役割明確化、低迷脱す
<第91回選抜高校野球> 1971年夏の甲子園で初出場優勝し、激戦区・神奈川で80、90年代に一時代を築いた。2017年秋に「再登板」したOBの片桐健一監督(45)が選手の役割を明確にして近年の低迷期を脱し、16年ぶりの甲子園を引き寄せた。 片桐監督は高校3年時に、2学年下の高橋由伸・巨人前監督らと91年夏の甲子園を経験した。1度目の監督は07年秋から約1年半。甲子園優勝時の主将で恩師でもある土屋恵三郎監督から引き継いだ。「チームを変えることが一番になって、選手の力を引き出せていなかった」と当時を振り返る。 後にプロで活躍する選手がいながら、甲子園に結びつかない。2度目の監督では、その反省を生かした。「プロのように場面ごとに役割を変える実力はない。長所に応じて役割をきっちり定めた方が練習に取り組みやすいし、試合も腹を決めやすい」と片桐監督。選手が能力を発揮できるよう、役割を自覚させた。 成果があらわれたのは、24年ぶりの優勝を果たした昨秋の関東大会だ。主将・森敬斗(2年)は、常総学院(茨城)との1回戦の逆転サヨナラ満塁アーチをはじめ、4試合で3本塁打12打点と3番の働きを見せた。下位打線と1、2番は手堅い攻撃を支える。しぶとく四球を選び、送りバントやスクイズの小技を決めた。片桐監督は「決して能力の高いチームではないが、結果が出た。今後に生きる経験になった」と目を細める。 高校野球で「桐蔭」と言えば、史上初となる2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭の活躍が目立つ。「東にも桐蔭があるということを見せつけたい」と森。センバツという大舞台で復活ののろしを上げる。【真下信幸】=つづく