万博記念基金から約95億円取り崩し求める 会場建設費に利用 経済界と大阪府
来年4月に開幕する2025年大阪・関西万博の会場建設費などに充てるため、1970年大阪万博の収益金でつくられた「万博記念基金」の約半分に当たる約95億円を取り崩すよう、基金を管理する公益財団法人「関西・大阪21世紀協会」に経済界と大阪府が求めたことが10日、分かった。 万博記念基金は約190億円あり、そのうち約95億円を取り崩し、一部を会場建設費の経済界負担の不足分に充てたいとしている。同法人の定款では基金の処分を禁止しており、活用するには定款変更が必要になる。 会場建設費は、国と大阪府市、経済界が3分の1ずつを負担することになっているが、資材価格の高騰などで総額が当初計画の2倍近い最大2350億円に上振れしている。経済界は以前から、基金を会場建設費に活用することを求めていた。会場建設費の不足分は確定していないという。 取り崩した基金の一部は、府が管理運営する万博記念公園(大阪府吹田市)で、国が所有する土地を府が買い取る費用にも活用する。基金は公園の維持管理にも充てられているためで、土地を買い取ることで、府が国に支払う賃料負担をなくす狙いがある。 同法人は現在、万博記念基金の運用益を利用し、国際相互理解の促進や文化的な活動を対象に助成している。府の吉村洋文知事は10日、報道陣に「基金は万博記念公園の維持管理に充てている分を取り崩すため、文化事業が影響を受けることはない」と話した。(黒川信雄、藤谷茂樹)