観光名所「鶴の舞橋」の廃材に新たな命 箸や丸升…木工品で再利用 青森・鶴田町
箸の長さは約23センチで2種類あり、橋の名称をもじって「鶴のマイ箸」と名付けられた。「長い木の橋」と「長生きの箸」を掛けて、「ながーいきの橋」と刻印されるなど遊び心にも配慮が行き届いている。高さ約4センチ、直径約7センチの丸升は、日本酒を飲むときに使うおちょこにうってつけの一品だ。このほか、橋を訪れたことを証明する「御橋印(ごきょういん)」も作製した。
価格はそれぞれ、1500円、2800円、500円で、鶴田町の道の駅「鶴の里あるじゃ」と富士見湖パークの売店で販売されている。
■SDGsにも有効
「これまでも小規模な改修は度々、行われていた。今回の試みでは、SDGs(持続可能な開発目標)という時代でもあり、限られた資源をどう再利用するのかを考えました。県産材の付加価値と有効活用にもつながる」
同町商工観光課の藤田隆宏課長補佐は、廃材利用の重要性について強調する。町が独自に取り組む「アップサイクル」の意義が十分にある、というわけだ。
第2期工事は9月から来年3月までの予定で、今後も大量の廃材が見込まれる。町は8月の実現に向けて、現在販売されているより幾分大き目の丸升のほか、お皿やスプーンの商品化も目指している。大鰐町の木材加工業者だけではなく、地元・鶴田町の業者にも生産を請け負ってほしいとの考えもある。
町によると、新型コロナウイルス禍を経て、観光業は徐々に回復傾向にあり、富士見湖パークを訪れた昨年の観光客は約18万人と、前年に比べ約6千人増えた。インバウンド(訪日外国人客)も増加しているという。
藤田課長補佐は「多くの観光客が足を運んでくれれば、町の財政にも相乗効果をもたらす」と期待している。(福田徳行)