城西大は手術から“復活のエース”が杜の都を駆ける 支えてくれた仲間のために2度目の全日本へ
第41回全日本大学女子駅伝が29日正午すぎに号砲を迎えます。昨年4年連続でシード権を獲得した城西大学を引っ張るのは、朝がちょっぴり苦手な2年生の高橋葵選手です。 仲間から「大事な大会の前はだいたい寝坊します」「駅伝当日の朝も電話で起きましたー」といじられると、高橋選手は「黒歴史ー!やめてくれー」と楽しそうに練習に向かいます。 昨年、大学駅伝デビュー戦となった関東大学女子駅伝では、1年生ながら区間賞を獲得。去年の全日本ではエース集う最長5区を任され、今季もエースとして期待されていました。
■突如おそった病に「死ぬかと思いました」苦しみから救った仲間の存在
順調に見えた大学生活。しかし、「2月後半からうまく走れなくなってしまって。原因不明みたいな…」とある異変が彼女を襲います。当時の練習日誌には、「胸が苦しくなり呼吸が速くなる」「意識が飛んで立ち止まってしまう」などの症状が書かれていました。 近くで見てきた同期の盛合凜華マネージャーは、「『葵!』って声かけても反応しないので、声かけに(近くまで)走って行って、『葵わかる?』って言っても『わからない』って言うのがけっこう続いて…」と当時の様子を明かします。 「走っていて、ぞくぞくしたり、気持ち悪くなってしまったり…」と高橋選手は苦しみます。突然襲った意識障害は、海綿状血管腫という病気。脳の血管がつまり、てんかん発作などを引き起こす病です。 5月に手術に臨みましたが、高橋選手は「死ぬかと思いました、想像していたのと違う。すごく痛くて苦しかったので、手術しない方がよかったのかなって。この先また普通に元気に生きられる自分が想像できなくて、もうだめなんじゃないかなって思った時もあって」と打ち明けました。 再び走ることができるのか。どん底で苦しむ中、支えとなったのは、プライベートもいつも一緒に過ごす、同期の存在だったといいます。 闘病中、写真にメッセ―ジを添えたカードが届きます。「メッセージカードをみんなからもらって、すごく勇気づけられた。すごくうれしくて、涙が止まらなくて」これが何よりの励みとなりました。 仲間たちは「『がんばれー!!』、『お願いだから早くよくなってー!!』って」と祈るような思いでメッセージを送ったことを明かします。高橋選手は「この2年生の存在があったから、絶対帰ってくるんだという気持ちで手術に臨めた」と当時を振り返りました。