なぜWHOの「パンデミック条約」に対する反対運動が広がっているのか…「とんでもない内容」が盛り込まれている条約の「中身」
「パンデミック条約」がはらむ問題点
同じく共和党の州知事24人も5月22日、同じように連名で、バイデン大統領に書簡を送った。以下のようだ。 ---------- 〈我々は、米国と国民に対する前例のない憲法違反の権限をWHOに与えるような2つの提案に反対する。もし採択されれば、これらの合意はWHOを公衆衛生における助言機関から世界的な権威に高める結果になる。国家主権を損ない、WHO事務局長が国際的な公衆衛生危機を宣言する一方的な権限を握ってしまう〉 ---------- ---------- 〈それは国民代表の役割を剥奪し、国民にWHOの指示に従うよう強制するものだ。国際的な監視組織を創設し、加盟国に公衆衛生に関する言論統制を要求し、生物兵器の拡散を促す可能性もある。公衆衛生政策は連邦政府やWHOのような国際機関の問題ではなく、国家に帰属する問題だ。我々は、いかなるWHOへの権力移転にも反対する〉 ---------- 2つの書簡に、パンデミック条約と国際保健規則の改定がはらんでいる問題点が示されている。それは(1)新型コロナにおけるWHOの失敗を覆い隠してしまう(2)国家主権をWHOに売り渡す結果になりかねない(3)中国の責任追及をしていない(4)言論統制につながる危険がある、といった問題である。 このうち、(1)と(3)は連動している。WHOは新型コロナの初期に中国に現地調査団を派遣して調べようとしたが、中国は当初、頑として応ぜず、ようやく応じた後も形ばかりの協力をしたにすぎなかった。中国はゲノム情報のような証拠を隠蔽した疑いもある。その結果、現在に至るまで感染の起源がはっきりしていない。 それどころか、中国はパンデミック条約の創設で、米欧の製薬先進国が開発したワクチン等に関する知的所有権を格安で手に入れてしまう可能性すらある。なぜかと言えば、国連の枠組みでは、中国は優遇扱いされるべき「途上国」に分類されているからだ。