所属する“会社らしさ”を説明できるか? 主体的な社員が集まる組織の特徴
組織やチームの成長、個人のキャリアを大きく左右する要素として、主体性が重要視されています。しかし、主体的な社員を育て、主体的なチームを創り、ビジネスを成功に導くためには単に社員一人ひとりに働きかければよい、というものではありません。 「管理職の罰ゲーム化」が加速する日本の職場...その原因とは? そこで年間300社を超える企業に対しビジネスコンサルティング&研修プログラムの企画・開発・実施までを行っている株式会社HRインスティテュート代表取締役社長の三坂健氏が、組織の強みや個性を活かし、企業風土や文化といった環境を整えながら、社員が主体的に活躍するチームを創る方法を3回に分けて解説します。 第2回の本稿では、会社「らしさ」を共有する重要性について紹介します。
あなたの会社の「らしさ」とは
組織に身を置いて仕事をしている人なら誰しも自社の「らしさ」について口にしたことがあるのではないでしょうか。それは「うちらしい」や、「うちらしくない」といったものです。 例えば、新商品や新サービスを立ち上げる時、プレゼンテーションの後に役員から「うちらしい提案をしてくれてありがとう!」と承認をもらったり、一方で「ちょっとうちのらしさとはかけ離れている印象を持ったなぁ」などと再考を促されたりするシーンに遭遇することがあるはずです。 この「らしさ」とは一体何でしょうか。企業が大切にすべき「らしさの源」は次のとおり2つあります。 ・会社が目指す姿を表すミッションやビジョン、パーパス など ・会社がもたらす価値を表すバリュー、ウェイ、イズム など 前述のミッションやビジョン、パーパスといったものは主に社会全体、お客様、社員を含むステークホルダーに向けて発信され、自社や自事業の存在意義を示すうえで重要です。 そしてこうしたミッション、ビジョン、パーパスと関連付けて主に社内に向けて定着が図られるものがバリューやウェイ、イズム、つまり「らしさ」です。この「らしさ」が共有されている組織では、組織が大切にしている価値観や考え方、行動様式に基づき現場が自律的に判断し行動できるようになります。 また、自分が所属する会社が目指す方向や大切にしているバリューをしっかりと理解、共感し、自分の言葉で説明することができる社員の割合が高ければ高いほど、その会社の一体感は高まり、同じ方向を向いて切磋琢磨を繰り返す集団となります。 反対に、社員がこうしたバリューに関心を向けず、また経営側もそのことを問題視しないようであれば、それは単なる寄せ集めの集団となり、相乗効果が生まれにくくなります。社員を育成し、組織を強くするためにもまずは企業として大切にする考えや価値を言語化し、社内外に発信し、定着する活動が欠かせません。