漫画家・小田原ドラゴンが語る! 新連載『堀田エボリューション』と「誕生前夜」
小田原 LINEで......。 ――あー......それで今、絶賛婚活中なんですね。先生、本気で結婚したいんスか? 小田原 したい! ■新作の下地には「7040問題」 ――今夏、突然の訃報もありました。先生の盟友で、『小田原ドラゴンくえすと!』(小学館)にも登場するライターの石川キンテツさんが永眠されました。 小田原 僕はキンテツとは20年以上の長い付き合いだったんですが、いいときに逝ったと思っています。 ――それはどういう意味ですか? 小田原 近年のキンテツは仕事もロクにせず、老いた親の仕送りでメシを食っていた。そして、その金を握りしめて秋葉原のコンカフェに通い詰め、お気に入りのコンカフェ嬢の誕生日にはシャンパンを入れる。キンテツは本気でコンカフェ嬢を口説き落とそうとしていたし、なんだったら結婚できると真剣に思っていた。以前、国際ロマンス詐欺で200万円ダマシ取られたこともあって......まぁそういう男なんです。 ――石川さんは先生の婚約が破断になったのはご存じだったんですか? 小田原 キンテツはこの手の僕の失態が大好物だった(笑)。破断を伝えたら嬉々としてマウントを取ってくるだろうなぁと。そう思いながら7月8日、彼に《残念だけど結婚はなくなったよ》とLINEしたんです。でも、何日経っても既読がつかなかった。キンテツは7月8日の夕方、自宅マンションのドアの前で倒れていたそうです。 ――石川さんの最後をどなたからお聞きに? 小田原 キンテツのお父さんと話ができたんですが......肩の荷が下りた顔をされていた。そりゃそうです。老いてまだ息子を食わせていたんですから。自分と息子の未来を考えたら、苦しかったと思います。 ――そんな激動の夏を経て、新連載『堀田エボリューション』がスタートしました。主人公の堀田は老いた母親と暮らす無職の中年男性です。作品の下地には「7040問題」「子供部屋おじさん」「ひきこもり」「弱者男性」という社会問題もちりばめられています。 小田原 僕は商業高校を卒業したんですけど、とにかく働きたくなくて就職しなかった。それでしばらく家でゴロゴロしてたんですよ。 ーーなるほど。そういう経験も作品に反映されていると。 小田原 まぁ、基本的にはクルマ好きの無職のオジサンの話ですけどね(笑)。 ーーズバリ、『堀田エボリューション』は先生の中でどんな位置付けの作品ですか? 小田原 集大成です。 撮影/山本佳吾