福証の新市場「福岡プロ・マーケット」が船出、九州内外の7社上場…「意欲ある企業に選択肢増やしたい」
福岡証券取引所は16日、プロ投資家向けの新たな株式市場「福岡プロ・マーケット」(FPM)を開設した。既存の本則市場と新興企業向け市場「Qボード」に続く三つ目の市場で、九州内外の7社が上場した。上場へのハードルを低く設定しており、成長力のある新興企業を広く呼び込みたい考えだ。(中西瑛) 【表】FPMと一般市場の違い
この日、福証で開かれた開設式では、長宣也理事長らがドラを鳴らし、新市場のスタートを祝った。2000年のQボード以来、24年ぶりの新設で、長理事長は「九州は全国的にも経済成長が期待されている。意欲のある企業に選択肢を増やしたい」と語った。
7社中6社は九州外に本社を置き、多くは上場の目的に九州での知名度の向上を挙げた。唯一、九州を地盤とする中古品買い取り販売の「ライフクリエイト」(北九州市)の有冨修社長は狙いを「企業の信頼度のアップと、人材育成や採用のため」と説明した。
福証が新市場を開設した背景には、上場している企業数が減少傾向で、売買代金も伸び悩んでいることがある。23年末の上場企業数は104社で、Qボードを開設した00年(268社)から6割減った。年間の売買代金も23年は133億円と00年から半減している。
プロ向け市場は、「一般市場にステップアップするための入り口」(福証)との位置付けで、取引への参加者を銀行や保険会社などの機関投資家に限定する代わりに、上場に時価総額などの数値基準を設けず、一般市場より間口を広げた。東京証券取引所に続き国内2か所目となる取り組みだ。
今回、上場した7社のうち6社は東証のプロ向け市場との重複上場となった。東証でも取引できることから、FPMの初日の売買代金は約230万円と低調で、今後はいかに存在感を示し、成長企業を多く集められるかが焦点となる。
福証は活性化に向け、FPMを目指す企業を支援したり審査したりする「Fアドバイザー」の資格も新設した。資格を取得した日本M&Aセンター(東京)の竹内直樹社長は「『スター企業』をつくれば、地域が活性化し、新たな雇用も生まれる。28年3月末までにさらに10社程度は上場させたい」と語った。