[MOM4909]富山東DF中田航平(2年)_富山U-18から転籍の186cm大型SB、"初の選手権”で決勝導く千金弾「チームの一員になれたかな」
[11.4 選手権富山県予選準決勝 富山東高 1-0 富山北部高 高岡スポーツコアサッカー・ラグビー場] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 強風が吹きつける中で0-0の時間が続いた富山県準決勝、均衡を破ったのは「でかい、強い、点も取れる」の応援歌でスタンドから鼓舞され続けた186cmの長身サイドバックだった。 富山東高は後半29分、右サイドでファウルを誘ってFKを獲得すると、クイックリスタートのサインプレーでMF松本翼(3年=芳野中)がスルーパスを送り、MF今井悠太(3年=スクエア富山)が縦へと突破。クロスボールが中央に送られると、「守備はもちろん、攻撃で点を決めるというところもこだわってやっている」というDF中田航平(2年=水橋FC)がファーサイドから飛び込み、冷静なシュートでゴール右隅に沈めた。 中田は今年初めにカターレ富山U-18から転籍し、進学実績も高い伝統校のサッカー部を選んだ元Jユース組。富山東ではFW遠藤優太(2年=富山U-15)も一足先に富山U-18から加入していた他、別の強豪校でも同様のキャリアを歩む選手が中心を担っており、県内高校サッカー界を席巻するトレンドとなっている中、Jユース出身者のクオリティーを誇るような先制ゴールとなった。 富山U-18は現在、高円宮杯プリンスリーグ北信越で首位を走るなど、地域を代表する存在に名乗りを挙げている一方、中田はなかなか出場機会を得られず、高校サッカーへの挑戦を決めた。 「自分の実力不足があって、悔しい思いをしたのもあるし、高校には選手権という舞台もあるし、優勝すれば大きな舞台に行けるという夢もあったので移ることにした」。2年生のため今回が初の選手権。「これでチームの一員になれたかなと。でもたまたま自分がヒーローになっただけ。全員で掴んだ勝利だと思う」とチームワークに頬を緩めた。 そんな中田だが、得点シーン以外の存在感も抜群だった。富山U-18時代はCBを務めていたといい、高さと強さを活かした対人守備は圧巻のパフォーマンス。この日は富山U-18時代のチームメートで、富山北部高に移籍してきたエースのFW中島澄也(3年=富山U-15)とのマッチアップとなったが、ほとんど仕事をさせずに80分間を終えた。 「知り合いでもあるし、警戒していた選手でもあった。北部の攻撃は左サイド中心だと思っていたし、自分が止めれば勝てると言い聞かせていた」(中田) 富山東の最終ラインはCBのDF川副湧誠(3年=富山新庄U-15)とDF福澤樹(2年=奥田中)も高さがあり、今大会4試合でいまだ無失点。中田は「僕だけじゃなく、ディフェンス陣を中心とした全員守備全員攻撃が出ている」と謙虚に捉えているようだが、守備陣の安定感は紛れもなくチームの強みとなっている。 また上田裕次監督が「攻撃のところでも意図的にボールを扱って崩せるところが強み。大味なプレーばかりではない」と口にするように、ビルドアップにも難なく関われるのも中田のストロングポイントだ。近年は国内外のトッププロレベルでも、高さと攻撃スキルを兼ね備えたSBがトレンドとなっているおり、将来性も感じさせる逸材だ。 上田監督が中田をSBで起用しているのも、将来を見込んでのもの。「先々のことを考えた時、大学などいろんなところで活躍する選手だと思うし、いろんな経験を積んでもらえるようにしないと上で通用しないので、選手の幅や引き出しになってくれれば」。その指揮官の思いを中田自身も理解し、「CBとSBどっちもできればプレーの幅も広がるし、いろんな選択肢をコーチ陣に与えられると思う」と意気込む。 そんな中田がロールモデルにしているのはサンフレッチェ広島のDF中野就斗。「SBとCBが両方できるし、時にはCBで身体を張るし、ウイングバックになったらすごい点に絡むし、自分も真似したいような選手」。大卒2年目でJリーグの優勝争いを牽引し、A代表入りの期待の声も聞かれる24歳の存在は、高校卒業後に「サッカーの強い大学に行って、そこで活躍してプロになりたい」と志す16歳にも大きな刺激となっているようだ。 将来への大きな夢を叶えるためにも、2年時の高校選手権は大きなチャンスとなる。「まずはチームが勝つことが一番。その上で個人の活躍」と強調しつつも、9日の決勝・龍谷富山高戦はキャリアの転換点。「決勝で絶対に勝って、全国の舞台に先輩方を連れて行って、個人としてもチームとしても飛躍できれば。そのために1週間努力して臨みたい」と野心を持って挑むつもりだ。