【厚生年金】元生命保険販売員が解説。現役時代の年収がいくらあれば、「月額20万円」の年金を受給できますか?
新年度が始まりました。新しい環境でのスタートですが、新社会人や年金受給者になる方など、収入が変わると影響も大きいでしょう。 【写真2枚を見る】【年金の一覧表】改定された「標準的な年金額」と「厚生年金の平均受給額一覧表」 図表でチェック 特に年金受給者にとっては、現職中の収入や年金加入期間などによって受け取る金額は様々です。年金の仕組み上、受給額に差が出るためいくら受け取れるのか不安な方も多いようです。 そこで今回は「年金月額20万円」にスポットをあて、実際に受け取るための収入などの条件を確認していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「厚生年金」の平均月額はいくら?
将来受け取れる公的年金は、現役時代に加入していた保険が「国民年金」か「厚生年金」かで、受給額が大きく変わります。 では、公務員や会社員などが加入する厚生年金の平均月額はいくらなのでしょうか。 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に見ていきましょう。 ● 厚生年金の平均年金月額 〈全体〉平均年金月額:14万3973円 ・〈男性〉平均年金月額:16万3875円 ・〈女性〉平均年金月額:10万4878円 ※国民年金部分を含む 【参考:国民年金】 ・男女全体平均月額:5万6316円 ・男性平均月額:5万8798円 ・女性平均月額:5万4426円 自営業者や専業主婦などが加入する国民年金は、保険料が一律であることから受給額の差はそこまで大きくありません。 一方、厚生年金は、受給期間や年収によって受給額が変わるため、受給額に差が生じやすくなっています。 将来受け取る年金受給額をより詳しく知りたい場合は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで確認してみると良いでしょう。 では、厚生年金を「月額20万円」受給するためには、一体どれくらいの年収が必要なのでしょうか。次章で解説していきます。
厚生年金「月額20万円」を受給するために必要な年収目安は?
先述の通り、厚生年金は現役時代の年収や加入期間などによって年金額が変わります。 では、厚生年金「月額20万円」の人の、現役時代の収入はいくらくらいなのでしょうか。 厚生年金の受給額は「2003年3月以前」と「2003年4月以降」で計算式が異なります。 ・2003年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額(※)×(7.125/1000)×2003年3月以前の加入月数 ・2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬月額×(5.481/1000)×2003年4月以降の加入月数 ※平均標準報酬月額:勤務先から支給される月給の平均額で、月給と賞与を合わせて12で割った金額を指す 今回は、2003年4月以降に加入したとして、年金月額20万円の人の現役時代の年収目安を算出していきましょう。 試算条件は下記のようになります。 ・国民年金受給額(満額):81万6000円 ・厚生年金加入期間:40年間 ●厚生年金「月額20万円」を受給する人の年収目安 厚生年金「月額20万円」を受給すると想定した場合、年間で240万円を受給することになります。 国民年金81万6000円を差し引くと、厚生年金から158万4000円受給する必要があるため、平均標準報酬月額は下記のように計算できます。 ・平均標準報酬額×5.481/1000×480ヶ月(40年間)=158万4000円(国民年金受給額を差引いた厚生年金受給額) ・平均標準報酬額=約60万円 計算式から、40年間の平均年収が「約720万円」であれば、厚生年金として月額20万円を受け取れるとわかります。 厚生年金として月額20万円を受け取るためには、40年間継続して「月額約60万円」を維持し続ける必要があります。 20歳代から継続して年収720万円以上を維持することは、大変レアケースといえそうです。