バレー新リーグが「世界最高峰」となり得る条件とは-開幕したSVリーグの将来性
パリ五輪で日本代表が大きな注目を集め、追い風が吹く中でSVリーグはスタートを切った。男子の開幕戦は地上波のフジテレビで生中継され、リーグ戦全試合は男女ともCS放送のJ-Sportsで放送されている。 ただ、以前との違いが分かりにくいとの指摘もある。チーム編成に関わる部分では外国人選手の出場枠が増えたが、ファンでない一般の人を含め、SVリーグの発足が広く認知されているかといえば心もとない限りだ。 男子では「大阪ブルテオン(旧パナソニック)」、「広島サンダース(旧JT)」、女子では市民クラブを掲げる「岡山シーガルズ」や独立採算型の「ヴィクトリーナ姫路」など、企業名を名乗らないチームも増えてきた。だが依然、全体的には企業スポーツの色合いが残り、刷新感をアピールするのに苦労している様子だ。
欧州リーグはEU統合で活性化
一方、プロ化に成功しているイタリアなど欧州では、各国の選手が入り交じり、「多国籍化」が進んでいる。例えば、日本のエースである石川祐希が所属するイタリア・セリエAのペルージャでは、14人のメンバー中、7人が外国籍の選手だ。クラブのウェブサイトによると、日本の他にポーランドやウクライナ、キューバ、アルゼンチン出身の選手がいる。 このような潮流は、バレーに限ったことではない。EU(欧州連合)統合に伴い、1990年代後半から欧州のスポーツ界ではEU内の選手であれば、自由に移籍できるようになった。一般の労働者と同じ取り扱いとなったのだ。とりわけサッカーでは移籍市場が活性化し、各国のレベルが上がった。さらに有料放送の普及でクラブに多額の放映権料が入るようになり、選手の移籍金も高騰。ビジネス規模が拡大された結果、EU外の国からも選手が集まるようになった。 それだけではない。欧州のスポーツ界は地域に根ざして発展を遂げてきた歴史がある。それぞれのクラブは地元の熱心なファンに支えられ、外国出身の選手たちにも「わが町の代表」として声援が送られる。スタジアムやアリーナを埋める観客の入場料収入が、ビジネスを展開する上でも基盤になっているのだ。