「毒親という言葉は、あくまで一時的な避難場所」母がしんどいアラフォーの娘が、人生ラクになる方法を人気カウンセラーに聞いてみた
人気カウンセラー・根本裕幸さんの新連載が始まります! テーマは「しんどい母親の手放し方」。毒母持ちライター・M子への実際のカウンセリングをもとに、母と娘の関係がこじれやすい理由や、母親から自由になるための具体的な方法を解説していきます。 まずはイントロダクション。根本さんがカウンセラーとして考える、「毒母」という言葉の効能と限界とは。
「毒親」とは、これ以上自分が傷つかないためのシェルター
M子 根本さん、よろしくお願いします! この連載では「毒親」、なかでも「毒母」にフォーカスしていきたいと思います。言葉としてはすっかり一般的になりましたし、ネットでは毒親サバイバーの方の体験談などもよく目にしますが、そこまで壮絶な経験はしていなくても、自分の母親を「毒母」と呼ぶ人は多いです。 根本 そうですね。親からとくに何かされたわけじゃないんだけど、なんかイヤ、なんかしんどいと思っている人のほうが多いでしょうね。 M子 じつは私も、幼い頃から母親との関係に悩んできた娘の一人なのですが、毒親という言葉を知った時は正直、すごく気持ちがラクになったんです。ああ、母親のこと嫌ってもいいんだ、この生きづらさは私のせいじゃなかったんだと。 根本 うんうん、なるほど。 M子 でも、最近はそれも疲れてきたというか……。だって親って、どんなに面倒だと思っていてもそう簡単には縁を切れないじゃないですか。私自身、普段はできるだけ母との接触を避けているけど、父がかわいそうなのでさすがにお正月くらいは実家に顔を出すようにしています。おそらくあと10年も経てば介護の問題も出てくる。そうなったら、おそらく私は知らないふりはできません。そういう相手を、毒母と呼んでこの先ずっと憎み続けるのもキツいなと思い始めていて……。根本さんは心理カウンセラーとして、毒親・毒母という言葉をどう思いますか? 根本 そうですねえ。僕は、「毒親」という言葉は、あくまで一時的な避難場所と思っています。親のことでこれ以上自分が傷つかないための安全地帯、シェルターのようなイメージですかね。 言葉自体を否定はしません。自分の親を毒親と思うことで心がラクになるうちはそれでいいんです。傷ついた状態で人は動けないので、まずは心の回復を最優先にしてほしいですし、いくらでも非難していい。でも、いくら非難しても毒親は毒親のままです。お母さんが変わることはありません。何か言ったところでお母さんは変わらないというのは、娘のM子さんが一番分かっているでしょう。 M子 そうですね……あの人が変わることはないと思います。 根本 だから、娘のあなたが変わらないといけない。それにシェルターにこもったままということは、いつまで経っても前に進めないということ。問題を根本的に解決するには、どんな親だろうといつかは向き合わなければいけない時が来るということです。
根本 裕幸