「演説や人心掌握術だけには非常に長けた政治家?」小泉進次郎が街頭演説で見せた“惹きつける演説”に隠された4つの工夫。
ただの世襲議員ではなかった進次郎氏の本当の危険性
当日の街頭演説では他にも印象的な場面があった。街頭演説会は16時開始だったものの約1時間前から聴衆が集まり始めていたため、いわゆる前座として自民党の地方議員たちが次々とスピーチ。その地方議員の多くが、「進次郎さんは自分の顔と名前をすぐに覚えてくれた」「次に会ったときには進次郎さんが自ら声をかけてくれた」という類のエピソードを披露したのだ。 そして、その後の本人の演説ではこれらが紛れもない事実であろうと聴衆に確信させる場面が冒頭にあった。該当部分を以下に抜粋する。 進次郎氏:今日はこんなに暑い日にもかかわらず駅前に大勢の皆さん、今まで見たことがないほど大勢の皆さんにお集まり頂きまして本当にありがとうございます。 最前列の皆さん、お顔を見ると、(以降、一人ずつ本人がいる方向を手で指しながら)私の小学校の同級生。子供を連れてきてくれてありがとう! そして、三浦からラーメン屋さん。横須賀からパン屋さん、幼稚園の先生。 本当に多くの皆さんが、私の総裁選立候補に当たり、地元の横須賀市、お世話になっている選挙区の三浦市、そして神奈川県内の隅々、もしかしたら県外からも大勢の皆さんが集まってくれて、私は今ここに立っています。大前提として最前列は進次郎氏の後援会が優先的に案内されたエリアのため、知り合いの顔を見つけやすかったという事情はあるだろう。それにしても進次郎氏が人の顔を覚えることや、一度覚えたら愛想よく振る舞うことをかなり意識的に行なっていることがうかがえる。 先ほどの演説内容のポイント4点も踏まえると、進次郎氏は「血筋と容姿に恵まれただけで中身を伴わない世襲議員」ではなかった。正しくは、「中身は全く伴わないものの、演説や人心掌握術だけには非常に長けた政治家」と筆者は考える。 その一方、今回の出馬会見では突如として公約として憲法改正や解雇規制見直しも宣言した。一見すると爽やかで人気は高いが、場合によっては日本を壊しかねない政策を平気で採り入れてしまう恐れがあるという点で、一般国民にとっては非常に危険な人物ともいえるのではないか。 文/犬飼淳
犬飼淳
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