“エンジン音がないF1” 電気自動車のフォーミュラEとは
世界が初体験 “電気自動車のF1”を現地観戦
F1など世界最高峰のレースを開催するFIA(国際自動車連盟)による、電気自動車(EV)のフォーミュラカーレースが『フォーミュラE』。2014年9月に中国の北京で開幕して、いま初めてのシーズンを戦っている最中です。東京では桜も満開になった4月4日。アメリカのロングビーチで開催された第6戦を取材に行ってきました。 フォーミュラEがユニークなのは、走るクルマが「EV」というだけではありません。世界を転戦するレースとして史上初めて、全てのレースで市街地の公道を使用します。また、スタートしたばかりの今シーズンは、全てのチームが全く同じマシンで競っています。 第6戦で優勝したのは、F1ファンにはおなじみの偉大な父をもつネルソン・ピケJr.(ブラジル)。マシン性能に差がないこともあり、開幕から6戦で6人のドライバーが優勝するという大激戦が演じられているのもフォーミュラEの魅力といえるでしょう。ほかにも、アイルトン・セナの甥っ子やアラン・プロストの息子、さらにはニック・ハイドフェルド、ヤルノ・トゥルーリといったモータースポーツファンにはおなじみのドライバーたちが活躍しています。 自動車のレースが好きな人からは「エンジン音がないレースなんて……」とか「途中で電池が切れてしまうようなクルマでレースしても……」という声をよく聞きます。でも、実際に観戦してみた結果としては「文句なしに面白い!」と感じました。
EVマシンの音は「新幹線」のような音?
F1では、マシンの音がサーキットを支配します。でも、フォーミュラEの場合はエンジン音がないので、歓声が際立ち、会場内のアナウンスや音楽もクリアに聞こえます。レースの「音」と「歓声」のバランスがちょうどいい、ということをスタンドで実感できました。 とはいえ、レーススピードで疾走するマシンは意外に大きな音を出します。レールの音がタイヤノイズに替わった「新幹線の走行音」といえばEVを知らない人にも想像できるでしょうか。風切り音と、モーターやコントローラーが発する「キーン」という響き、さらに、シフトチェンジの時のメカニカルな音や、タイヤが路面との摩擦で発する音が、想像以上に激しいことに気づかされます。