恵庭・牧場裁判 「虐待状態・奴隷労働」原告が語る
恵庭の牧場に住み込みで働いていた知的障害者3人が、亡くなった牧場主の家族などを相手取り、損害賠償を求めている裁判が札幌地裁で続いています。公の場に出ることを決めた原告に話を聞きました。石狩管内に住む原告の1人、佐藤さん(仮名)です。裁判開始から1年が経った先月、取材に顔を出して応じることを決めました。 佐藤さんは11月18日の会見で「みんなに知ってほしいから顔を出したんです」と決断した理由を語りました。 佐藤さんはおととしまでおよそ20年間、恵庭の遠藤牧場で働いていました。毎日12時間以上働き、1年を通して休みはなかったといいます。弁護団はその状況を「虐待状態・奴隷労働」だったと主張しています。毎日の食事は朝食がお湯と卵とごはんのみ。夕食もごはんと缶詰のようなおかずが1品でした。 記者「でもその時はそれが当たり前だと思っていたんですか?」。 佐藤さん「いや、当たり前だと思ってなかった」。 記者「けれど従うしかなかったみたいな?」。 佐藤さん「はい。向こうが文句言い出すからそれで黙って食べるしかないんですよね」。 暮らしていたプレハブではこんなことも。 佐藤さん「下の人(別の原告)がストーブ使うなって言われて、とられて。危険なためとの理由でした」。 記者「寒い時はどうしていたんですか?」。 佐藤さん「毛布の中にくるまって寝るしかないんだわ」。 入浴もできず、外で体を洗っていたと言う佐藤さん。当時の生活を「やっぱりあり得ないと思う。今の生活は自由がきくし一番楽しいです」と振り返ります。 3人は、劣悪な生活を強いられただけでなく、合わせて5千万円以上の障害年金が横領されたとも訴えています。 佐藤さん「(裁判で)お金取り戻してほしい」。 記者「取り戻したお金でどこ行きたいとかありますか?」。 佐藤さん「あります。東京ディズニーランドとかさいろんなとこ。全然行ったことないから」。 牧場主の家族は「食事はちゃんと食べさせていた」「金は生活費などとして使った」などと主張しています。次回の裁判は来年2月21日に開かれます。