岩山の上に築かれた中世の要塞都市で行われる「シタデル(城塞)クロス」は難所だらけ【シクロクロス2024/25 WC第4戦 ナミュール:プレビュー】
第2戦ダブリン大会を制し、現在ワールドカップ総合首位につけるマイケル・ファントゥレンハウト(ベルギー)にとっては、ナミュールとは、3年前にはワールドカップ戦を、2年前の欧州選手権では独走勝利を手にした相性の良いコース。一方で第1戦アントワープ大会覇者エリ・イザビット(ベルギー)は、昨季の4位が最高位。ただしジュニア・U23時代は優勝1回を含む表彰台を4回経験しているから、必ずしもナミュールを苦手としているわけではなさそう。
もちろん岩山の上に築かれた中世の要塞都市で行われる「シタデルクロス」は、決して一筋縄では行くまい。スタートラインには石畳が敷き詰められ、その後もコース上のあちこちで泥に覆われたパヴェを横切らねばならぬ。屋外劇場の周辺では舗装路も通過するが、コースの大部分は林の中に引かれ、ふかふかした土が車輪に絡みつく。ところどころには意地悪な木の根も顔を出す。
世界指折りの起伏コースとしても知られる。スタート直後にはやたらと長い上り坂が立ちはだかり、終盤には短い激坂が2つ。自転車に乗って駆け上がるのも厳しいが、自転車を担いて泥坂をよじ登るのもまた、至難の業だ。上りの後には、当然のように、ひどくテクニカルな下りも待っている。
しかも2030年、つまりベルギー独立200周年の祝祭の年にシクロクロス世界選手権を受け入れるナミュールを、とりわけ難解なものにしているのが地元フランス語でいうところの「デヴェール(dévers)」、いわゆる「キャンバー」の存在だ。斜めに傾いた土の道を、選手たちはバランスを取りながら、時にはずり落ちながら、爆走せねばならない。
アイルランドやサルデーニャといった「海外」レースと比べて、シクロクロスの本場ベルギーで開催される大会だからこそ、世界各地から多くの選手が乗り込んでくる。日本人選手の梶鉄輝も参戦予定で、単純に見積もっても出走人数はダブリン大会の約2倍!すると……スタート直後には、凄まじく壮観なホールショット争いも巻き起こるはずだ。
文:宮本あさか
宮本 あさか
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