巨人に連敗の虎に“球界大御所”が緊急提言!「阪神よ。佐藤輝明を復活させ首位を死守せよ」
広岡氏が指摘するように阪神の野球に隙は多い。この日も勝てないまでも負けることを防ぐことはできた。0-0で迎えた8回、西は先頭の亀井にライトフェンス直撃の二塁打を打たれた。続く北村は、バントの構えをしていなかったが、阪神の内野守備陣は、シフトも敷かず、西も初球から簡単にストライクを取りにいって送りバントを決められてしまった。進塁を防ごうという意志がベンチにないからバッテリーの警戒心も希薄になる。そして一死三塁にされて大城に対して0-2と追い込んでおきながら、勝負を急ぎ、三遊間に決勝タイムリーを打たれた。甘く入ったスライダー。梅野は、外角のボールゾーンにミットを構えていたからコントロールミスの失投だった。ファウル、空振りとタイミングの合っていなかった大城は、明らかにボールをバットに当てて内野ゴロを転がすことだけを意識していた。多少のボール球にでも食らいついてくる場面。梅野は有利なカウントでコントロールミスの起こる可能性の高い球種を選択すべきではなかった。やりようによっては防げる失点だったのである。 では、首位を死守するために阪神はどうすべきなのか。 広岡氏は、「佐藤次第。結局、前半の阪神の快進撃を支えたのは佐藤なのだ。新人におんぶに抱っことなるのは情けないが、佐藤が阪神を変えた。今、その佐藤が打てなくなったことが巨人に追い抜かれそうになっている最大の要因。佐藤を復活させねばならない」と提言した。 佐藤は、この日も3タコに終わった。まったくタイミングが合わずに内野フライを2つ打ち上げ、変則左腕の大江には、抜いた変化球でもて遊ばれてスイングアウト。三振数は117となった。7日のヤクルト戦で20号を放って以来、4試合ホームランがなく、巨人3連戦では初戦で7番に降格され、ヒット1本しか打てていない。7月に入って打率は.171と急降下している。 「佐藤の良さは、新人離れしたパワーだが、へその下に重心を置き下半身でバットを振れていることにある。だが、今はまるでボールに当てにいっているような手打ちになっている。だからバットが走らない。フルスイングをしようと思ってもできていない。インサイドを徹底的に攻められ苦労しているのだろうが、どのボールに対しても自分のタイミングで自分のスイングをするのが佐藤の持ち味なのだ。もう一度、自分のタイミングで打つことを思い出して欲しい。グリップを少し下げて、重心を低く意識するなど、体全体でバットを振るための工夫も必要なのかもしれない」 広岡氏は緊急打撃修正を提案する。 そして、こうも続けた。 「いくら打てなくても佐藤を打線から外してはダメ。それと大山を4番に戻したが、大山は4番に固定すべき。打線が点を取れなくなると監督は打順をいじりたくなるものだが、コロコロ変える必要はない。4月、5月の好調時に阪神のオーダーは動かなかったではないか。多少変えるのはわかるが主軸は動かすべきではない。そして主軸を任された選手は、練習と姿勢で、その期待に応える準備をしなければならない」 矢野監督は6月29日のヤクルト戦から不調の大山を4番から6番に降格した。その采配は裏目に出て、大山は、力んでさらにバッティングの内容が悪くなり、6日のヤクルト戦からは7番に下がった。 その後、バットのヘッドを入れる角度を浅く変えて無駄な動きをなくしタイミングの取り方に余裕が出てきたため、調子を取り戻し8日のヤクルト戦では価値ある10号3ラン。10日の巨人戦から4番に復帰したが、広岡氏は、「ボールの見極めができるようになっているマルテは3番タイプで4番にすると勝負を急ぎ持ち味が死ぬ。やはり生え抜きの選手が4番に座らねばチームは機能しないし、大山は4番を打つだけの力を備えつつある」と指摘した。 今日12日の横浜DeNA戦には、エースの青柳を中5日で先発に指名した。前半戦の折り返しまで残り3試合。勝ち越しさえすれば首位ターンをキープできる。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)