「刺激的なことはテレビでもできる」 添い寝に利き牛乳企画…ハリセンボンがゆるい動画を配信する理由
コロナ禍をきっかけに、一気に増加した女性芸能人のYouTubeチャンネル。テレビやSNSとはまた別の魅力を発揮しており、パブリックイメージとは異なる面を楽しむことができる。 【写真】ハリセンボンの撮り下ろしカット YouTube配信に力を入れている女性芸能人に、動画投稿を始めたきっかけや今後の展望について聞く連載企画「YouTube with her」。 第6回は、2022年より本格的にYouTubeチャンネル・ハリセンボンOfficial Channelをスタートさせたお笑い芸人・ハリセンボンの2人を迎えた。 テレビでも大活躍中の2人があえて今YouTubeをやる意味を聞くと「2人だからこそ」と回答。その真意や、テレビとの違い、YouTubeチャンネルを通してやりたいことについて話を聞いた。 ・2人だからこその「目線づけ」ができる ――2022年からYouTubeを本格始動したおふたり。きっかけはなんだったのでしょうか? 近藤春菜(以下、近藤):マネージャーさんが「やりませんか?」って言ってくださって。ただ、始めるにあたって「自分たちでやりたくないことはやらない、やりたいことだけをやるっていうことと、数字にとらわれないというところは徹底したい。それができるのであればやりたい」とお返事をして、始めることになりました。 ――YouTubeはテレビ以上に人柄が見えるコンテンツだと思うのですが、そこに対する抵抗感はなかったのでしょうか? 近藤:そうですね。やっぱり芸人としてバラエティ番組にも出演していて「素」の部分は出してるつもりだったので、抵抗はありませんでした。 箕輪はるか(以下、箕輪):たしかに。視聴者の方からも「素」の部分を喜んでもらえている感じもしますし。 ――芸人さんのなかには、コンビではなく個人でYouTubeチャンネルを始めている方もいますが、そういう選択肢はなかったのでしょうか? 近藤:なかったですね。やはり2人だからこそやる意味があるというか。結果として、はるかは1人で散歩に行ったり喫茶店巡りをしたり、私は1人飲みをしたり……。2人のチャンネルで1人動画も出せていますし、まったく違うコンセプトの、例えばダンスだけのチャンネルを作るとかじゃない限り、あえて1人でやる必要性はないかなと思っています。今のところは2人でゆるくやっているのが私たちのYouTubeらしいなって。 箕輪:私も2人で話している雰囲気や、そのときのことをおもしろがってほしいというのが一番だったので、1人で始めようとは思いませんでした。基本的には2人がいいですね。 ――実際、2人でやっているからこそできた企画はありますか? 箕輪:「ハリセンボン春菜がステラおばさんのお店で働いてみたら…春菜だと気づかれる? ステラおばさんだと思われる?」という動画があるのですが、あれはスタッフさんを含めてチームワークがグッと強まった気がしました。 近藤:たしかに。この検証動画もそうだし、ダブル成人式もそうだし、どっちかが「こうだと思うんだけど検証してみよう」みたいなことって、やっぱり2人だからこそおもしろくなるなと。 あとは、2人の食生活の違いもおもしろいですよね。料理にこだわりがないって言いつつも、実はツッコミどころがあって、そのツッコミが入ることによって、視聴者の方とも「え、こだわりあるよね?」みたいに共感できる感じがする。2人だからこその目線付けができるのは一緒にやっているからこそだなと思います。 ――なるほど。素敵です。 近藤:ライブとかテレビのお仕事以外でも2人でやれることをやりたいなと思っていたのですが、YouTubeはやっぱり自由度が高いと思うので楽しいです。はるかが意外に多趣味なところも、YouTubeだったらたくさん出せますしね。 箕輪:私も、「YouTubeやる意味あるのかな」のような不安は感じなかったですね。ただ、あえていうなら他の芸人さんよりもちょっと遅れて始めたので「乗っかったみたいな感じになるけど大丈夫なのかな」というのは少し心配でした。 近藤:乗っかったとも思われないぐらい、だいぶ後に始めた感じはありますけどね(笑)。 ・食事や添い寝……ゆるい動画の需要には驚き ――実際にYouTubeを始めてみた感想を教えてください。 近藤:「こんなにゆるくて大丈夫かな」とは思っていますけど、最近は自分たちも慣れてきました。 箕輪:カバンの中身とか、モデルさんに求められるような企画を、オファーが来なくてもやれちゃうのは楽しいなって思っています。 ――おふたりの動画といえば、ロイヤルホストの動画などのような、ゆるいものが人気の印象です。 近藤:コメントでも、うちらの食べている姿とか、ただゆったりしゃべっているみたいなところが「すごく癒されます」と言われるんです。自分たちとしては生活の一部を見てもらっている感覚だったので、まさか癒し効果があるだなんて思ってもみなかったですね。YouTube界の優香さんや井川遥さんといってもいいくらい、癒し系になれたのかなって感じています(笑)。 箕輪:添い寝動画も好評なんですよ。修学旅行の夜みたいに、2人がベッドに横になっている状態でコソコソっと話すみたいな内容なんですけど、「これを待ってました!」みたいなコメントが一定数あって。そういう需要もあったのかと気付かされましたね。 ――そういった企画はどのように生まれるのでしょうか? 近藤:添い寝動画は、私のInstagramに「いろいろ大変で寝られないときに、ハリセンボンさんの動画を見たら少し寝られるようになりました」みたいなコメントをいただいて。そういう方にもっと寄り添いたいなと撮影したんです。コメントは全部拝見していますし、力にもなっています。 箕輪:私もコメントは全部見ていますが、すごく好意的なコメントがたくさんあるんです。インターネットって悪口みたいなコメントが多いイメージがあったんですけど、YouTubeを始めてから、嫌な気持ちになることってそんなに多くなくて。視聴者のみんなも楽しく、チャンネルを平和にするためにコメントしてくれてるんだなあって感謝しています。 ・刺激的なことはテレビでもできるから ――テレビでも活躍中のおふたり。YouTubeとテレビの違いはどんなところに感じますか? 近藤:テレビは、制作されているスタッフさんがいらっしゃって、そこに私たちを呼んでくださる。そのなかで求められている仕事をさせてもらうっていう感じだと思っています。ただ、YouTubeに関しては自分の好きなものを丸出しにできるなと。自分たち発信で、求められる役割を考えずに出せるし、時間の自由度も高い。そこは全然違うなと思いますね。テレビもテレビでもちろん楽しいし、いろんな方とお仕事できる中でシビれる瞬間もいっぱいあるんですけど、そうではないYouTubeのゆるさもまた楽しいなと思います。 箕輪:テレビはやっぱり企画や制作の方が見せたいものがあって、それに対して私たちが何か反応することが多いと思うんですけど、YouTubeはただ30分とか1時間ずっとしゃべっているだけのこともありますからね、とりとめもないような話を長回しで聞いてもらっている感じなので、会話のなかにより人柄が見えてくるんじゃないかなと思っています。 ――ちなみにおふたりのYouTubeを見ていて、あえてYouTuberらしいインパクトのある企画はしていないという印象も受けます。ユルい動画を中心に投稿するのは、もちろん需要が高いからというのもあるかとは思いますが、ほかに理由はありますか? 近藤:刺激的なことは、テレビでやらせてもらっていますからね。うちらはうちらの「手作り感」というか、そこを自分たちでも楽しんでいるので、「バズらせたいから尖ったことをやるんだ」みたいなのはないんですよね。 箕輪:そもそもバズらせなきゃみたいな気持ちもあまりないので、本当に2人がやってみたいことだけをやっているんです。無理のない形で受け入れてもらえたら嬉しいです。 ――冒頭でも「数字は気にしない」とおっしゃっていましたけど、どうしても再生回数などが露骨に出てしまうのがYouTubeかなとも感じています。どのようにうまく付き合っていますか? 近藤:職業がYouTuberさんではないので、楽しい表現の1個としてのYouTubeなんですよね。ただ、自分がこれやりたいと思って撮って、仕上がりもおもしろいのに、いざ公開してみたら「全然見られてないじゃん!」みたいなこともあるんですが、それさえもおもしろいんですよね。変に気にしすぎないっていう姿勢は変わらず、やらせてもらってます。 箕輪:私もそうですね。数字はただ、参考的に捉えているだけなので、ストレスになることはいまのところない気がします。極端に数字が少ないときは、シンプルに理由が知りたいなと思いますけど。 ――ちなみに「これはもっと見られてもいいはず」と思っている動画はありますか? 近藤:初期に投稿したワンちゃんのお散歩動画ですかね。途中、ワンちゃん目線の映像もあるんですけど、全然回らないんです。犬も出たら癒し効果もあって見たいかなと思ったんですけどね。逆にそれをいじって、他の動画内で言ったりもしているんですけど、それでも回らない(笑)。視聴者さんも意固地になっちゃってる感じがします。ペット系って言語も関係ないし、癒しだから、世界中で見られると思っていたんですけどね。 箕輪:私は牛乳が大好きなので「利き牛乳」をやらせてもらったんですが、それが全然外れて、牛に謝りに行ったんです。「味もわかんないのに飲んでてごめんなさい」って。牛も牛の赤ちゃんも出るから、回るだろうと思ったのですが、全然見られていない。 ――おふたりとも動物の動画なんですね。 箕輪:動物との相性がですね、よくないんです。 近藤:サムネをもうちょっと変えたら違ったかもとは思いますけど、うーん……難しいですね。 ――最後に今後、YouTubeでやりたいことを教えてください。 近藤:今後も、毎回何か食べておしゃべりして……という感じの動画になると思うんですけど、それを見た視聴者さんから「はるかさんがたくさん食べてて嬉しい」っていうコメントが結構来るんです。なので、これからもはるかの栄養チャンネルとして(笑)、はるかにはいっぱいバランスよく食べてもらう企画をやっていきたいです。 箕輪:ディレクターさんたちとちょっと遠出して、1泊2日旅行してみたいです。2年ぐらい前から言ってるんですけど、なかなかできていないので、いつかやりたいなと思っています。
於ありさ