『いいとも!』復活望む根強い声、その深い理由 つながりの面白さと「広場」としての役割
橋田壽賀子に関しては、江頭2:50の「キス事件」もあった。 ゲストでコーナーの進行役として登場した江頭2:50を見た橋田が、よほど興味があったのか江頭2:50がトルコで裸になって物議を醸した騒動に何度もふれたため、思うように進行できず困った江頭が橋田にキスをして文字通り口を封じようとしたのである。 慌てて香取慎吾や極楽とんぼが引き離したものの、これで江頭2:50は『いいとも!』〝出禁〟になった。
確かにやりすぎの感は否めないが、これもお笑いやバラエティとは無縁の世界にいた橋田壽賀子がレギュラー出演していた『いいとも!』だったからこそ起こり得たハプニングだろう。 ■電話してきた外国人が出演者に また『いいとも!』には、外国人の出演者も多かった。レギュラー出演者だけでも、デーブ・スペクター、ケント・デリカット、オスマン・サンコンなどがいた。その出演に至る経緯がまた興味深い。 小林豊によると、こうした外国人出演者は、みなオーディションで選んでいた。番組のデスクに「コバヤシサン、イマスカ?」という電話がよくいきなりかかってきて、小林につないでもらえないかと言ってくる。
もちろんその時点では、全員素人である。そのなかからいま挙げたような外国人たちがオーディションに合格し、スターになっていった。 電話と言えば、「テレフォンショッキング」において間違い電話がきっかけで一般の素人が3日続けて出演したことがあるのは前記事でふれた通りだ。 募集していたわけでもないのに電話してきた外国人が出演者になっていったというこのエピソードを聞くと、番組制作の裏側でもそれに類したハプニングが起こっていたことがわかる。
それもまた、「テレフォンショッキング」の場合と同様に意図せぬ「つながり」が生んだものであった。 一方で、仲良くワイワイやる輪に入ることが苦手な出演者もいたに違いない。 だがそうした出演者にとっては、タモリがいた。「グランドフィナーレ」で出演者が口々に語ったように、タモリは、どんなひとでもすべてを受け入れる「怒らない」司会者だった。 そしてそれぞれの相手に応じて絶妙な距離感をつくり出し、出演者の思わぬ個性を引き出した。そのうえでハブのような役割を担い、誰でもそこにいられる雰囲気を番組全体に醸し出していた。