元広島の栗原が合同トライアウトに参加せずに楽天テスト
今季限りで広島を退団した栗原健太内野手(33)が11月10日に静岡で開催される12球団の合同トライアウトには参加せず、同日から岡山の倉敷市内で行われている楽天の秋季キャンプに合流して入団テストを受けることになった。18日までキャンプ参加する方向だ。 栗原は、2006年から4年連続で20本塁打以上をマーク、2007、2008年は打率も3割をクリアして、新井貴浩が阪神にFA移籍した後は、カープの4番を任された。だが、2008、2012、2014年と、右肘を3度にわたって手術。怪我の影響もあって、ここ2年は1軍出場はなく、今季もファームで30試合、38打席わずか5安打、1本塁打、2打点と結果を残すことができなかった。広島は栗原に戦力外を通告したが、その際、本人の意思を尊重、右肘の状態がやっと再発を怖がらずにスイングできるまでに回復してきた栗原は、自由契約による他球団での再起を希望していた。 楽天は、栗原の持つ潜在能力を高く評価。キャンプのテストで右肘の状況などをチェックしたい考え。そもそも栗原は、地元東北の山形の天童市出身で、4年前に栗原が国内FA権利を得た際に楽天が獲得に乗り出した経緯もある。 楽天は右の大砲不足がチームの深刻なウイークポイントで、今季は外国人のギャビー・サンチェス内野手、ウィリー・モー・ペーニャ内野手、ゼローズ・ウィラー外野手を補強したが、結果を出したのは、終盤に4番で活躍したウィラー一人で、サンチェス、ペーニャとは来季の契約を結ばなかった。右の大砲補強のため、外国人の調査と同時にヤクルトの畠山和洋の獲得を調査していたが、FAを行使せずチーム残留することが濃厚となった。それだけに、栗原には心機一転、再生に成功すれば、大きなプラス戦力になるという期待感がある。梨田監督はベテランのモチベーションを高めて起用することには定評があり、まだ33歳の栗原が故障を完治させ、昔の感覚を取り戻せば、実績があるだけに面白い存在になることは間違いない。 栗原はテストに備え広島でトレーニングを続けていて、先月9日のブログでは、「もし僕を必要としてくださるところがあるのなら、現役を続けたいと思いました。リハビリ中は先がまったく見えず、もしかするともうずっとこのままかもしれない、暗くて長いトンネルがありました。ただ抜け出したくて、無我夢中でバットを振り続けました。そんな時にお世話になった方もたくさんいらっしゃいます。そんな期間は無駄ではなかったと、お世話になった方々にありがとうと言えるプレーをしたい。そんな姿を見てもらいたい。それが今の素直な気持ちです」と、再起にかける熱い決意をつづっている。 合同トライアウトを受けずに、楽天のテスト1本に絞ったというのも、楽天との契約を勝ち取るという栗原の覚悟の裏返しだろう。昨季も中日を自由契約となった吉川大幾(23)が合同トライアウトに参加せず、巨人の入団テストを受けて契約に至った例がある。楽天は、キャンプ中に合否を決定する方向だ。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)