錦織圭のケガはテニスプレーヤー宿命箇所?!復活の道と可能性は?
いずれにしても錦織が年内を全休することは確かで、昨年の同期間に得た“ランキングポイント”を失っていくのも確実。結果、今シーズン終了時点でのランキングは、20位前後まで落ちることが予想される。 錦織のランキングが20位以下だった時となると、2014年3月まで遡ることになる。そして同年、彼は5位でシーズンを終えた。もちろん、ケガからの復帰となる今回と、躍進の年であった2014年を単純に重ねることなどできない。それでも20位前後での再スタートとなれば、グランドスラムでもシードがつき、少なくとも3回戦までは上位選手と当たらぬ地位を確保できる。また、仮にその後ランキングが多少落ちたとしても、当面は全ての大会に出場できるため、スケジュールが立てやすいのも利点だろう。 さらには、ケガの状況は千差万別なため比較は難しいとはいえ、現在のツアーのコート上には、完全復帰を果たした好例が何人もいるのも好材料。今季の全豪とウィンブルドンを制したロジャー・フェデラーは、膝のケガによる約5ヶ月の休養の後に鮮やかな復活劇を演じた。昨年終盤を手首の負傷のため棒に振ったラファエル・ナダルも、全仏オープンを制し世界1位に返り咲く。これまでも敬意の目を向けてきた先達が、今は完全復活を信じる根拠として、錦織に光を示しているはずだ。 錦織はこれまでにも、2009年の右肘手術を筆頭に、多くの負傷を力に変えてきた選手でもある。 “ケガの巧妙”――来季の彼を語る時、この言葉が多く使われることを信じたい。 (文責・内田暁/スポーツライター)