のじぎく賞と宝塚市消防本部の感謝状を贈られた（左から）赤塚雅之さん、寺田彰さん、大宮沙織さん。大宮さんの前は長女の奈々さん。事故当時も一緒で母たちの活躍を見ていた＝兵庫県警宝塚署で２０２４年１２月１７日午前１１時１３分、土居和弘撮影

　道路脇の街路樹などに激突し炎上寸前の乗用車から男性を助け出したとして、兵庫県宝塚市の造園業、寺田彰さん（７１）と川西市の建築業、赤塚雅之さん（４５）、宝塚市の看護師、大宮沙織さん（３４）に、県の善行表彰「のじぎく賞」と宝塚市消防本部の感謝状が贈られた。互いに面識がないものの息の合った連携をした３人は「逡巡（しゅんじゅん）なく行動してドライバーの一命を救った」などとたたえられた。【土居和弘】 【写真】ありがとう！感謝状が贈られた人たち　芸能人や犬も 　事故は１１月１１日午後、宝塚市東部の市道で発生。乗用車が緩い下りカーブを曲がりきれずに道路左脇の街路樹やガードレールに衝突し、３人はいずれも後続車から目撃するなどした。 　すぐ後ろの車だった赤塚さんが事故車に駆け寄り、追いついた寺田さんと運転席の７０代男性を抱え上げて外に出し、十数メートル先の路上に寝かせた。車内は白煙が立ち込め、助手席の下部に炎も見え始めていたという。２人は「今は何を考えていたか覚えていないが、助け出せて良かった」「時間との勝負だった。自然と体が動いた」と振り返る。男性の救助直後、車は燃え広がり全焼した。 　大宮さんは「救急車を呼びます」と声をかけて１１９番。到着するまでの約１０分間、男性の意識を確認したり、容体の急変に備え衣服を緩めたりするなどの看護をした。男性は重傷を負ったが「協力して助けられた。看護師の経験も役立てられた」と話した。 　贈呈式は１２月１７日に宝塚署であり、石井克央（よしたか）署長と高橋康宏市消防長から賞状を受け取った。 　高橋消防長は「とっさに動けたのは、いつも人を助けたいという思いを持っているからと思う」と感謝を伝えた。