高級イチゴ「あまおう」に迫る2025年問題 同じ味のイチゴが別の名前で出回る!?生産農家の高齢化で栽培面積も減少 最新技術の活用で生産力とブランド力向上へ
生産者も栽培面積も減少
生産力の低下も大きな課題となっています。あまおうの販売が開始された2003年度には、生産農家の数は2143戸でしたが、2022年度には1458戸まで減少。420ヘクタールあった栽培面積も299ヘクタールにまで縮小しています。県が2015年に行った調査でも65歳の以上の高齢農家が約37%に上り、年々高齢化が進んでいるとみられています。このまま栽培面積とともに出荷量が減ってしまうと、消費者が目にする機会が減って市場での評価が下がってしまうおそれがあるため、生産力を維持するために新規就農者の増加と育成は重要な課題となっています。
生産が難しいあまおう ベテランから技術を次世代に引き継ぐ
その取り組みの1つが「スマートグラス」と呼ばれるメガネ型の最新端末です。福岡県農業大学校の授業にも取り入れられていて、目の近くには小型のモニターとカメラがついています。着けた人の見ている映像をパソコンなどで共有できる仕組みとなっていて、離れた場所にいても、ベテラン農家などからリアルタイムで細かく指導を受けられます。 福岡県農業大学校 飯田涼介主任技師 「右の株に何かあまおうの小玉残しているんじゃない?画面に写っているような形が悪い果実は小さい段階でもう落としてしまっていい」 指導者がスマートグラスを着ければ、どこに注意しながら手入れしているのかなどを同じ目線で学ぶことができます。 福岡県農業大学校 飯田涼介主任技師 「自分が作業している時の目線と何かここ違うなって思うことがありますか?」 学生 「葉っぱとかを重点的に見ながらしているのであんまり実を気にしていないっていう感じですね」 あまおうは温度管理などが難しく病気になりやすいため、他のいちごに比べて生産が難しいと言われています。福岡県では「スマートグラス」のような最新技術を活用したあまおうの生産が始まっています。JAむなかたではAIを活用してハウスの中の温度や湿度のほか、日射量や土壌の温度、水分量などのデータを収集して可視化する端末を導入しています。中には、その技術を活用して、約20年の熟練のあまおうの農家から研修を受けた若手農家が、反収(10アール当たりの収穫高)の収穫量について1年目の記録を更新するケースもあったということです。こうした最新技術を活用し、ベテラン農家の知恵と技を伝承し、品質の高いあまおうの生産を維持していくことが求められています。