エアコン使ったら「せき」「鼻水」が出るように…なぜ? 放置は危険? 呼吸器専門医が教える原因&対策
症状を放置するとどうなる?
Q.では、夏風邪だと思って症状を放置すると、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。 草ヶ谷さん「主に、次の3つのリスクが生じる可能性があります」 (1)症状の悪化 初期の軽度の症状が悪化し、慢性的なせきや鼻水に発展する可能性があります。特にカビやほこりによる刺激が継続的に続く場合、気道や鼻腔(びくう)の炎症が進行しやすくなります。 (2)夏型過敏性肺炎の進行 夏型過敏性肺炎の初期症状を見逃すと、病気が進行してしまう可能性があります。放置すると肺の組織が線維化して硬くなるため、元の健康的な肺の状態には戻らず、慢性的な症状へと進行してしまうこともあります。重症化により、呼吸困難や肺機能の低下を引き起こすこともあります。 (3)他の呼吸器疾患を発症するリスク 気管支ぜんそくの患者のほか、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)といった呼吸器疾患がある人は、症状悪化の原因を放置している限り、なかなかよくなりません。むしろ、感染症など他の呼吸器疾患を引き起こす恐れがあります。先述のように、エアコンの掃除や室内の湿度管理などにより、環境を整備することは、重要な治療の一つです。 Q.家庭用のエアコンだけでなく、オフィスのエアコンの使用後にせきや鼻水が出ることはあるのでしょうか。 草ヶ谷さん「次のような理由から、オフィスのエアコン使用後にせきや鼻水が出ることも十分に考えられます」 (1)多くの人が利用 環境によって異なるため、一般論になりますが、オフィスは多くの人が利用するため、エアコンのフィルターや内部に多量のカビやほこりがたまりやすいです。これにより、アレルギーの原因となる物質である「アレルゲン」が増えやすい環境となっていることがあります。 (2)定期的なメンテナンスが行われていない可能性 家庭用のエアコンと比較して、オフィスのエアコンは定期的なメンテナンスがどの程度確実に行われているのか、利用者が把握しにくいです。 実は家庭用のエアコンよりも、汚れやカビが長期間放置されている場合もあるかもしれません。例えば、普段はあまり使わない部屋のエアコンをつけた瞬間に臭いということもありますよね。 (3)空調管理の難しさ オフィスでは、個々の過ごしやすい温度や湿度に対応することが難しいため、一部の人にとっては不快な環境になることがあります。乾燥や温度変化に敏感な人は、これによりせきや鼻水などの症状が引き起こされることがあります。 エアコン使用後にせきや鼻水が出る原因と対処方法、そして放置した場合のリスクについて、解説しました。夏にエアコンを快適に、安全に使うために、こうした知識を活用してみてはいかがでしょうか。
オトナンサー編集部