蕨野友也&伊藤祐輝&田口清隆監督、『ウルトラマンブレーザー』を愛したファンにメッセージ「これが入り口になれば」 劇場映画の見どころも
■映画の見どころは? 田口監督の肝いり“国会議事堂”も登場
――次は映画のお話を伺えればと思います。楽しい部分がいっぱいな作品になりました。 【蕨野】『TSUBURAYA CONVENTION 2023(ツブコン)』のオープニングセレモニーで「家族の絆が試される」と僕は言いました。これって、この映画に対するものでもありながら、日常生活においても同じで、家族と密に連絡を取り合うことって、あまりなくなってきていると思うんです。僕は頻繁にやってるんです。特に上京してから。僕がただただ心配性なだけの話なんですけど。家族との絆って、小さい子どもと大人だけのものじゃない。コミュニケーションというものであれば、今1人暮らししていても親と連絡することは簡単です。僕は、僕を大事に育ててくれた親を一生面倒見たいと思ってるし、向こうもそのつもりで今まで僕を大きくしてくれた。今回この劇場映画をやれたことで、ぜひ見に行ってほしいなと思うんです。家族に対する、どんな思いを込めて映画に臨んだのかっていう姿勢を見てもらいたいと思います。 【伊藤】テルアキとしては、家族の絆を守れるかどうかがSKaRDにかかっているという状況の中で、ヴァラロンやV99という問題を乗り越えたSKaRDにとても繊細な試練が来る。出てくる怪獣の性質が今までとは違う。どういう攻撃をしてくるか、どういう性質なのかもわからない。事態は、おそらくウルトラマンブレーザーだけでは、もしかしたらどうしようもないかもしれない。SKaRDの中で各セクションの秀でたところをフルに発揮しないと、乗り越えられないような針の穴を通すような試練がまた来たなという印象です。25話までで培ってきたものを、どうSKaRDが生かしていくのかに注目していただきたいです。 ――田口監督、特撮で国会議事堂を壊したい願望があったんでしょうか? 【蕨野】俺らに対する質問と全然違うじゃない(笑)。 【田口監督】僕の好きな怪獣映画って、やっぱり何かしら実際の風景に怪獣がやってきて、誰もが見たことある建物を破壊していく。あとは、ある映画で破壊された建物を後々見に行って「あ!この建物だ!」みたいなのが大好きだったんです。だから本当に子どもの頃は当時、新都庁と呼ばれていた都庁だったり、みなとみらいとかに憧れを持っていた。今でも京都駅に行ったらしばらく見ちゃいます(笑)。という中で国会議事堂は怪獣映画に限らずあらゆる作品で破壊されてきたわけなんですけど、意外とやられてなかったのが25分の1で作られたパターン。実はデカすぎてなんです。本会議場って60メートル超えなんです。だからウルトラマンの横にあると、ウルトラマンよりデカいんです。だから、大体、縮尺を少し小さく作られてたんです。初代『ゴジラ』でも。真面目に25分の1で作ると、こんなデカくなっちゃうんだっていうのを1回やってみたかった。 美術部の稲付(正人)さんに伝えると「ホントにやるの?」って感じでした(笑)。稲付さんも発注する際に「嘘でしょ?」って言われたそうです(笑)。そこをなんとかと作っていただいて、今回の目玉になりました。とにかく今回は怪獣映画。ド直球に。たぶんテレビシリーズは子どもたちにとってちょっとハードな内容だったと思います。でも実は大人に向けてよりも、子どもたちに対して「いつかわかるメッセージ」と思って作ったテレビシリーズなんです。一方映画は、テレビシリーズも見ていない、もしかしたらこれが初めて見る怪獣映画になる子どもにとっても、大人にとっても、初めて見る『ウルトラマンブレーザー』になってもいいように作りました。テレビシリーズのダイジェストがついてますけど、ダイジェストと言いつつ、「SKaRDっていう人たちはこうやってチームになりました」というあらすじをつけたんです。人物紹介に徹しました。 それで、その人たちを大怪獣映画の世界に放り込んだら、どうなるのかを見てくださいっていう作品です。単純明快、明るく楽しい怪獣映画。直球のいわゆるミニチュア特撮という、ずっと脈々と培われてきた手法を、現状の全力でやりました。この方法で全力を出し切る怪獣映画って今は他にもうない訳で。久々に僕にその映画を作っていいというお鉢が回ってきたので、ビシッと「怪獣映画ってこういうのも良かったじゃん」という作品にしました。実在の建物をビシッと作ってバシッと壊そうよっていう願望を叩きつけた劇場映画です。 ――別の作品で話題となった飯田基祐さん、田中美央さんが共演しますが…。 【田口監督】偶然です。知らなかった。だから僕はあの作品を見てびっくりしました(笑)。関係ないところで、1人で笑っちゃって。あと、もう国会議事堂が出てきて…。壊されそうになるシーンで「やめろ!」と座席から立ち上がりそうになりました(笑)。そういや、あの時代から国会議事堂はあったのかと。危なかったです(笑)。 ――アースガロンのおちゃめなシーンも楽しめます。 【田口監督】アースガロンも、ある程度は怪獣に対処できる能力を持っている状態になりました。SKaRDも当たり前のようにチームワークができていて、主人公もウルトラマンになることに障がいはなくて、みたいな。ある意味で新しく始まるウルトラマンの1話みたいになっています。1話から25話は、もう壮大なエピソード0だったと思ってもらってもいいなというくらいです。 【蕨野】たぶん、今年は『ウルトラマンブレーザー』の続編が制作されると思います。 【伊藤】皆さまの声があれば! 【田口監督】それを声高に言っていこうと、みんなで決めました。スピンオフどころか、シーズン2でも行けます!映画のキャッチコピーの「俺たちが、行く。」です(笑)。