蕨野友也&伊藤祐輝&田口清隆監督、『ウルトラマンブレーザー』を愛したファンにメッセージ「これが入り口になれば」 劇場映画の見どころも
■最終話の感動的なシーン ついにゲントとブレーザーが“コミュニケーション”
――ついにゲントとウルトラマンブレーザーも明確にコミュニケーションを取れました。最初に脚本を読んだ感想を教えてください。 【蕨野】最初は見て見ぬふりをしたような気がします。圧倒的に倒せない相手がいて、融合させてくれない。そして、その理由はもう明確にわかってる。俺自身を死なせないためにって彼がそう思っていた。ゲント的に複雑な気持ちが、そこに行くまでにいろいろなことが起こりすぎてるんです。それを1個1個、精査して読み解こうって最初は思わなかった。結構ギリギリまで台本読まなかったんです。読んじゃうと、蕨野の習性として、それをずっと意識して行動しちゃう。それが怖くて。目の前にブレーザーがいるというのを、本当に現場で感じてやりたかった。本当に、ただただブレーザーに訴えたかったっていうのをやりたかったから、あまり読まなかったんですよね。なので、最終話でのブレーザーの「俺も行く」っていうせりふは、田口監督に現場で「田口監督が言ってください」とお願いしました。 【田口監督】お芝居の現場でブレーザーは当然いないので、声だけは現場で誰かが相手するんです。普段は助監督がするんだけど…。 【蕨野】どうしてもそれは田口監督にやっていただきたかった。 ――そして、ウルトラマンブレーザーがついに光線を放ちました。 【蕨野】たぶん意外だったんじゃないですか。 ――めちゃくちゃびっくりしました。 【田口監督】スパイラルバレードではなく、いわゆるクロスビームです。あれは初めから決めてました。最終回で初めて撃とう、と。ブレーザーというウルトラマンはM78の人じゃないんだけど、おそらく宇宙のどのユニバースにもウルトラマン的な生物が必ず発生するんだとして、おそらくその生物の最終的な習性として、手をクロスして放つエネルギー光線は、ものすごいパワーを持ってる。そういう習性を持ってる動物なんであろうとウルトラマンを捉えたんです。で、今回はそれに気づくまでの話で。今回、ゲントさんが左利きで、結婚指輪が左手にはまっていて、息子のブレスレットも左につけるものだった。死ぬかもしれない最終決戦の場に少なくとも2人の気持ちが入ったものを持って出かけて、そのままつけて戦っていたゲントさんの左手にすごいエネルギーが溜まる。そのことにブレーザーであり、ゲントさんが気づいて射出したっていう流れにしました。当初、僕の想定ではスペシウム光線と同じポーズだったんです。右手のクロス撃ちだったんですけど、シリーズ構成していくうちに、「ゲントさんは基本、左に力溜まるな」って思ったんです。蕨野さんが偶然左利きだったことで、ゲントさんも左利きの設定にして、いろんなことを左利きにしたんです。ゲントさんという役が蕨野さんに決まったことも含めて、ブレーザーは左撃ちになった。いろんな偶然だったり、内容の流れから自然と左撃ちに決まっていったという意味では、すごく気持ちよかったです。 【蕨野】変な話をしてもいいですか?決まった時は、選んでいただいた。それはもちろんなんですけど、初めて自分にお話が来たときに、名前も知らないし、どういう姿形をしているかわからないけど、今の話も含めて全部ブレーザーが引っ張ってきてくれたっていうか…。見えない作品のパワーがあったような気がします。俺がそういうふうに思いたいだけって言われたらそこまでですが、それに当てはまる出来事が多すぎて。感謝の言葉しか出てこないです。 ――テルアキがゲントから指揮を託されるシーンも熱いものでした。 【伊藤】台本を読んだ時に考えていたことはあったんですけど、現場にテルアキとして実際に立った時に考えたのは、本当に「みんなの命を守りたい」でした。ヴァラロンに対して一番恐怖心を抱いていたのはテルアキなのかなと僕は想像しています。そんなテルアキが「全指揮権を貴官に委譲する」と言われて、僕が隊長なんだっていう時に、頭ではなく心で「絶対に全員帰還させる」っていう1点のみに集中する。それで、エミは無線を通して上層部を説得する。ヤスノブとアンリが、アースガロンでヴァラロンと対峙する。そこにV99が来る。この状況であっても絶対にまたみんなと会えると思っている自分のことを信じる。自分自身に対する気持ちじゃなく、みんなに対する気持ちに100パーセント集中しました。