トランプ次期政権、軍幹部「粛清」の可能性 解任勧告委の新設検討
トランプ次期米政権が、意に沿わない米軍幹部を「粛清」するのではないかと懸念する声が出ている。政権移行チームが、軍幹部の解任を勧告する委員会の設置などを検討中と報じられている。「前代未聞の刷新」(ロイター通信)になる可能性があるといい、実行された場合は波紋を呼びそうだ。 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが12日に報じた大統領令の草案では、退役軍人らでつくる委員会が新設され、現役の中将や大将の指導力などを審査する。「不適格」と判断されれば、委員会が解任を勧告し、30日以内に退役を求められるという。 また、ロイター通信は13日、政権移行チームが、解任の対象とする米軍幹部のリストを作成していると報じた。ただ、軍幹部の一斉解任の実現可能性に疑問を示す関係者がいるほか、トランプ氏が承認するかも不明だという。 いずれの報道でも、「粛清の対象になり得る」と指摘されているのが、制服組トップのブラウン統合参謀本部議長だ。黒人のブラウン氏は、反差別運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」に理解を示したこともある。 トランプ氏に批判的なミリー前統合参謀本部議長と近い関係の幹部が標的になるとの見方も出ている。 また、トランプ氏は、2021年に米軍がアフガニスタンから撤収した際の混乱を批判し、これに関与した幹部に辞任を求める考えも示している。 軍を統括する国防総省を巡っては、トランプ氏は12日、保守系ケーブルテレビ局FOXニュースの司会者で元陸軍州兵のヘグセス氏を国防長官に起用する意向を表明した。この人事も「粛清」に影響する可能性がある。 ヘグセス氏は女性の戦闘参加に反対するなど保守的な主張で知られる。多様性の尊重などを重視する人々を「ウオーク(目覚め)」と批判し、制服組トップのブラウン氏についても解任すべきだと訴えたことがある。【ワシントン松井聡】