篠山竜青はどう生きるか(前編)(Bリーグ・川崎ブレイブサンダース 篠山竜青)
「苦しむだろうなとは感じていました」 新しいコーチに新しい選手。 まったく新しいチームとしてスタートを切った川崎ブレイブサンダースの2024-25シーズン序盤は劣勢が続いている。 4勝10敗で迎えた最初のバイウィーク。 中地区7位に甘んじたこれまでは、篠山竜青にとって「想定している範囲の中」だった。 「チームとしては少しずつ少しずつステップアップをしている状況なんじゃないかと思っています。3歩進んで2歩下がるような状況ではありますけど、足を止めずに成長できているんじゃないかっていうのは自分の思いです。 コーチ陣も日本に来るのが初めてで、2連戦も初めての経験と言っていますし、ミッドウィークに試合が入ることもヨーロッパではなかなかないという話をしながら、日頃のルーティーン作りというか、どこでオフを作ってどこでコンディションを上げて、みたいなものがまだ試行錯誤中という感じです。 外国籍選手も2人は日本が初めてで、日本人選手もこれまでB1でずっと試合に出続けていた選手がいない状況からのスタートなので、それなりにみんな慣れというか、そういったものも必要になってくる。 その慣れの中で起こってくる考え方の変化だったり、むしろ考えすぎて足が止まってしまったり、そういう空回りもありながら、チームとしてなんとかなんとか進んでいっているっていう状況なのかなって自分では思っています。」 チャンピオンシップスポーツである以上、チームの目標は優勝に設定されるべきで、新しい人材にはその達成への貢献を求められる。 しかし短い期間で目標を実現させようとすればそのぶん弊害も多く、組織の存在意義自体が揺らいでしまうことも少なくない。 歴史ある川崎で長期的な思考を育んできた篠山は現状の自分たちにとって適切な道のりを定め、目標の達成を軌道修正する。 「今シーズンは成長が一番大きいターゲットというか目標でいいんじゃないかなと個人的には思っていて、チームとしてもそうですけど一人ひとりの選手がそれぞれしっかりとB1の舞台で戦えるというところまで成長するというか、証明していくことがそのままチームの成長にも直結すると思っています。個々の成長、そしてチームとしての成長。もう一回チームとしての土台を作るっていうところが大きな目標なのかなと思いながらやっています。」 思わしくはない現状を明晰に、冷静に分析できるのは篠山自身の豊富な経験があってこそ。 昨シーズンまで13年間を川崎で過ごした彼には、チームの山と谷についての膨大な情報が納められている。 リーグ最下位に終わった加入1年目の2011-12シーズン、当時の東芝ブレイブサンダースはおそらく今よりさらに過酷な状況だったのではないだろうか。 「その前年がプレーオフに出られるか出られないかのところでリーグが中断されてしまったシーズンだったので、目標としてはプレーオフに出てそこから勝ち抜いていく。それができるはず、みたいなところから始まっただけに、メンタル的なダメージは僕の初年度の方がめちゃくちゃ大きかったと思います。そういう意味では、今シーズンはやっぱり覚悟していた部分もあったし、その中でそれぞれが自分に矢印を向けて、誰のせいにすることもなく、一つひとつ反省しながら練習の中でハードワークできているので、その辺の雰囲気が、僕が1年目のときとは全然違うのかなっていうのはありますね。」