富国生命、まだ超長期債積み増す時機でない-20年2%で積極投資
(ブルームバーグ): 富国生命保険は、2024年度内に20年国債利回りが2%に達すれば積極的な超長期債投資を検討する方針で、今は本格的な積み増しは見送る。
同社は24年度のスタート時点で残存20~30年債の平均的な利回りで2%超という水準を積極的な積み増しの目安としていた。森実潤也財務企画部長は6日のインタビューで、2%を明確に超える水準にはまだ届いておらず、「本格的な積み増しのタイミングではない」と述べた。
同日行われた30年債入札は米長期金利低下という追い風もあって順調に消化された。ただ、日本銀行が早期に国債買い入れ減額や追加利上げに踏み切ることへの警戒感は強く、金利先高観は消えていない。生命保険会社が主な投資対象とする30年債の利回りは調達コストである予定利率を上回っているが、金融政策を巡る不透明感が払しょくされるまで慎重な投資姿勢が続く可能性が高い。
森実氏は「さすがに金利の先行き不透明感が強い」と語る。日銀は3月にマイナス金利を解除するまで市場との対話は順調だったが、5月13日に「唐突に国債買い入れ減額に踏み切ったことに市場が慌て、先行き不確実性を高める要因になっている」と指摘する。
日銀は7日の定例オペで全年限の買い入れ額を据え置いた。5月23日に行われた残存1年超3年以下のオペで、応札額が予定額に届かない札割れとなったことで、減額を予想する向きもあった。新発20年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp)高い1.765%で取引されている。
森実氏は日銀の利上げの時期について、夏ごろまでの賃金動向を確認できる10月が自然とみるが、無風に終わった4月の金融政策決定会合や日銀総裁会見をきっかけに円安が加速したとの見方が強く、早めの「利上げに動かざるを得ない」と読む。来週の会合で「何らかのシグナルを示し、7月に実施する可能性もある」と言う。
金利上昇待ち
日銀が国債買い入れ減額の方向性を明確に示し、利上げに踏み切れば「金利はいったん落ち着くかもしれない」と森実氏は話した上で、「次は利上げの到達点に関心が移り、その見通しが金利を形成していく」とみる。引き続き金利は上昇し、10年債利回りで1.2%、20年債利回りで2%など「われわれが考えている水準に達すれば当然、本格的に債券を積み増していくことも十分検討しなければならない」と述べた。