米司法長官候補を辞退のゲイツ元議員、買春や違法薬物に「何万ドルも」支出 議会報告書が認定
米下院倫理委員会は23日、マット・ゲイツ元下院議員(42、共和党)が議員在任中、買春と違法薬物のために数万ドルを費やしていたとする調査報告書を公表した。ゲイツ氏はドナルド・トランプ次期大統領によって司法長官への起用が発表されたが、本人がこれを辞退している。 ゲイツ氏をめぐっては、性的不正行為と違法薬物使用の疑惑について、数年間にわたって調査が進められていた。 同委員会は、ゲイツ氏が2018年のバハマ旅行に絡んで、許容される以上の贈り物を受け取った証拠も確認したとした。 ゲイツ氏は不正行為を否定し続けており、中傷攻撃の被害者だと主張している。 ■17歳少女に金銭を払ったとの証言 調査報告書はゲイツ下院議員について、「買春、法定レイプ、違法薬物の使用、許容されない贈り物、特別な便宜や特権、議会妨害を禁止する下院規則やその他の行動基準に違反したことを示す実質的な証拠がある」と認定。 2017~2020年に女性12人に計9万ドル(約1400万円)以上を支払ったとし、これらの女性は下院倫理委員会によって「性行為や違法薬物使用に関連している可能性が高いと判断」されたとした。 さらに、ゲイツ氏が2017年にパーティーで、17歳の少女にセックスのために金銭を支払ったとする証言があると説明。少女には400ドルが渡され、「彼女はセックスのための支払いと理解した」とした。ゲイツ氏は未成年者とのセックスを否定している。 未成年者とセックスした疑いについては司法省も捜査したが、最終的に刑事訴追はしていない。 42ページに及ぶ報告書は、ゲイツ氏が調査に「非協力的」で、「自分の行動が暴露されるのを防ぐために」頻繁に「調査をかわし、妨害し、誤った方向に導いた」と非難している。 ゲイツ氏には召喚状が出されたが、委員会に出席して証言することはなかった。 ■司法長官に指名され議員辞職したが ゲイツ氏は、トランプ氏が大統領選に初勝利したのと同じ2016年の議会選挙で、フロリダ州の第1選挙区の議席を獲得した。 今年の大統領選でトランプ氏が2期目の当選を果たし、同氏に極めて忠誠的なゲイツ氏を司法長官に指名する意向を表明すると、ゲイツ氏は下院議員を辞職した。 多くの共和党議員はこの人選に驚がくし、異議を唱えた。ゲイツ氏は騒動の中、指名から8日後に辞退を表明。トランプ氏は新たな司法長官候補として、パム・ボンディ前フロリダ州司法長官を指名した。 トランプ氏は今回の報告書の内容について、まだコメントしていない。 ゲイツ氏が下院議員を辞任した時点で、さまざまな疑惑に対する下院倫理委員会の追及の手が届かなくなったかと思われた。 議員の辞職後に委員会が調査結果を公表するのは異例だが、今回はそうすることが公益にかなうと「過半数」の委員が判断したと、この日公表された調査報告書は記している。 ■トランプ氏への批判も ゲイツ氏は以前のXへの投稿で、30代は「一生懸命働き、一生懸命遊んだ」時代だったと認めていた。 「犯罪ではないが、恥ずかしいことに、過度にパーティーをし、女遊びをし、酒を飲み、たばこを吸っていた」、「今は違う人生を送っている」などとしていた。 民主党の下院議員らからは、ゲイツ氏をめぐる事態は、トランプ氏が「本当に仕事をこなせる人物を要職に就かせる」ことができていないことを示しているとの声が上がっている。 倫理委員会の民主党議員5人のうちの1人のグレン・アイヴィー議員は、「トランプ次期大統領は、マット・ゲイツを指名する前によく考えるべきだった。その他の何人かの候補についても再考すべきだ」と、BBCが提携する米CBSニュースに話した。 ゲイツ氏は議会を去ったのち、保守系ケーブルテレビ局「ワン・アメリカ・ニュース・ネットワーク(OAN)」のキャスターになる契約を結んだ。来年1月から出演予定となっている。 同氏はまた、動画プラットフォームのCameoで、個人向けビデオメッセージの販売も始めている。 (英語記事 Gaetz paid 'tens of thousands' for sex and drugs, ethics report says)
(c) BBC News